アイスティー

告白のアイスティーのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
4.0
冒頭30分の第一幕を独白と回想で見せ切る手腕凄すぎ、、このパートだけで中島監督じゃないと成立しなかったと思えるほど見事。(山戸監督が撮ったらどうなるのかめちゃくちゃ気になる)
「DRIVE」の冒頭シーンのようなドライブ感が教室内だけで成立している凄さ。競馬で言う所の"大逃げ"の立ち回りを見るとやはり興奮する。

 エンターテイメントとして見る分には素晴らしいと思いつつ、こういったコンテンツから少年法の偏見や厳罰主義的世論が形成されていくと思うと、果たして社会にとってプラスなのか?とは正直思った。

 加害者側も生育環境の欠落(毒親や家庭内暴力)を抱え、それゆえに精神を病んでしまったという社会的弱者の側面も描かれる。
しかしながら、松たか子を筆頭に、大人も子供も総じてキャラクター化しちゃってるので、なんか記号的に見えちゃう。
人間ってもっと切実に狡猾というか、高度な邪悪さがある気がするのよね。のっけから異常そうな奴より、一見普通に見える奴の邪悪さの方が不気味というか。
その見えるか見えないかの裂け目の中でこのテーマを描かないと、「スカッとジャパン」の超上質版みたいな感じで、結局歴史に残らず消化されていってしまうのではないかと。
エンターテイメントとしては間違いなく大成功だし、お見事という他ないんだけど。

 現実世界で家族を失った被害者遺族の手記を拝読する機会が増えたこともあり、そういった方々がこの作品に触れた時にどんな気持ちになるのだろうというのは正直思った。そこについてはかねりネガティブ。

いま見ておいてよかった。