このレビューはネタバレを含みます
1995年12月18日レンタル
クシシュトフ・キェシロフスキによるトリコロール三部作の赤の愛
赤は博愛がテーマ。
この作品が彼の遺作となる。
イレーヌジャコブ演じるモデル兼大学生とトランティニャン演じる元裁判判事の心の交流、一方でジャンピエールロリ演じる法律家を目指す青年の恋と破局を描いたストーリー。
博愛というだけあって、イレーヌジャコブの優しさ、愛らしさに満ちた作品。
ところどころに赤が配色されていて、車、カフェの日よけ、撮影されたポスター、舞台の配色など温かみのある映像がそこかしこに見られる。
また、一回観ただけでは分かりにくいが、いたるところに不吉を暗示させる伏線が設けてある。典型的なのは、序盤で撮影されたヴァランティーヌの遠くを見つめるような横顔のポスターが物語の終盤で強風により壁から剥がされるシーンとフェリーの事故、ラストの本人の横顔がポスターの横顔と同じようなカットでリンクさせるなど、他にも随所に散りばめられている。
ラストは、三部作の登場人物たちが偶然にも同じフェリーに乗り合わせの奇跡的な生還の下りは、ご都合主義的に見えないのが不思議でウルっときてしまった。演出の妙ですね。
赤はラストに観るのがオススメ。