オトマイム

トリコロール/赤の愛のオトマイムのレビュー・感想・評価

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)
4.7
3部作最終章にしてキェシロフスキ監督の遺作。

愛と優しさに溢れている。
イレーヌ・ジャコブの眼差しは聖母のようだ。そしてその完璧なカーブを描く横顔はギリシャの彫刻のよう。あんな美しい横顔ってなかなかお目にかかれない。

横顔を存分にみせることも含め、監督は彼女の美しさをあらゆる設定で映像に収めようと注力している。彼のミューズだから。前の2作青の愛・白の愛と比べてもヒロインへの特別の思い入れが感じられる。
そして遺作なので観るたびに少し悲しくもなる。

プレイスネルのサントラは本作でも光っていて、とりわけ彼女がレコード店で視聴するオーケストラの曲は印象的。
また、シリーズ通して言えることだがキェシロフスキはちょっとした仕掛けや遊び心を映像に取り入れていて、それを発見するのも楽しみのひとつ。

そして総決算のラスト。彼はこの印象的なラストを撮り終えたことで監督業に未練がなくなり引退を決意したのだろうか。
これから観る方は、可能ならばぜひシリーズの順番通りに青→白→赤の順番でご覧ください(*˘︶˘*).。.:*