垂直落下式サミング

オーメンIII 最後の闘争の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

オーメンIII 最後の闘争(1981年製作の映画)
3.6
ダミアンは32歳。大人になり経済的・政治的にも地位を得ており、その風貌は知性的な邪悪さだ。ダミアン抹殺を企てる神父たちとのバトルを描く「最後の闘争」と呼ぶに相応しいおはなしである。
さらに、ダミアンの世界制覇を目前にして、暗躍する悪魔の台頭を阻止すべく、対となる救世主「ナザレ」が生まれたという。自身の力の衰退を感じたダミアンは救世主を殺そうとするのだが…。
自身を崇拝する悪の信徒たちの前で、ダミアンが演説する場面は全体主義のメタファーのように撮っており、ついに悪が世界に浸透しきってしまったということを感じさせる。この老若男女のサタニストたちは、ボーイスカウトの子供から病院の看護師まで様々で、表向きには善良なふりをして私たちの生活に潜んでいる。その彼等がダミアンの命を受けて、救世主を探しだして殺そうとする様子がなかなか怖い。
ダミアンが「子供を恐れて殺そうとする」のは、父親に殺されそうになった一作目の自分と対になる構造となっているので、ストーリーの骨格そのものはよくできている。
途中監督交代もあったせいか、映画としてはやたら冗長なストーリーが尻すぼみになっていくので面白くはないが、私はダミアンの物語に、ちゃんと落とし前をつけているという点をもって本作を評価したい。
シリーズを二作目以降も楽しむためには、物語のなかに大きな流れを感じて、ダミアン・ソーンの大河ドラマとして自分のなかでストーリーを補完していく必要があるので、普通に観てもつまんなかったとか言われても責任は持たない。