Iri17

道のIri17のネタバレレビュー・内容・結末

(1954年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

救いのない話である。ラース・フォン・トリアーか!と思わず突っ込みたくなるレベル。それでもこの映画がそこまで鬱映画にならないのはジョルソミーナの底抜けな明るさと少年のようなザンパノのおかげだろう。

ザンパノは確かに人を殺してしまうし、ジョルソミーナを捨ててしまう。でもそれは悪意ではなく、単純に成長できていないからだろう。すぐにちょっかいを出してくる奴に頭にきて殴ってしまう。その結果死んでしまう。ジョルソミーナが好きだが気持ちを伝えられない。だから捨ててしまう。だからラストでザンパノは後悔で自暴自棄になってしまうのだ。本当に悪党ならこんなに後悔しないだろう。

ジョルソミーナも辛い状況でも、笑う事を忘れないし、人生を前向きに楽しもうとしている。だから彼女を見ているとこっちも明るい気持ちになる。多分彼女は発達障害だと思うのだが、そんな社会的弱者が生き抜こうとするから、観客も応援したくなる。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と違って、この映画にはガチなクズがいないので、鬱過ぎないのがいい。

ただやはり人生は苦難の連続で、決して楽ではないし、最後は上手くいくとは限らないという事をフェリーニは言いたいのだろう。2人の弱い人間が人生という道に迷う。人は弱いから、間違いを起こす。そして後悔するし、不幸になる。人は醜い。こういう部分はトリアーと共通する。

フェリーニの最高傑作と言われているそうだが、『8 1/2』の方が面白かった。
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