Wisteria

道のWisteriaのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.8
フェリーニの代表作。
野卑で粗暴な男ザンパノに対して、見返りを求めない愛を惜しみなく注ぐ純真無垢なジェルソミーナ。そんな彼女をザンパノは裏切り捨てて省みようともしない。
ジェルソミーナは、新訳聖書の言葉「心を入れ替えて子供のようにならなければ決して天の国に入ることは出来ない」をまさに体現する女性。一方、ザンパノはどうか?
ラストシーンで、海辺に突っ伏し砂を搔きむしりながら慟哭するザンパノの姿は、あたかも酉が鳴く間に3度イエスを否定したペテロ、あるいは銀貨30枚と引き換えにイエスを裏切ってしまったユダの絶望的な嘆きとも重なる。
ザンパノはまさしく私たちだ。私たちは最も大切なものを置き去りにし、小さき者を躓かせて省みようともしない。
この映画は、観る度に、目には見えないけれども本当に大切なものがあることを思い起こさせてくれる。
Wisteria

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