habtex

道のhabtexのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.6
クラシック映画研究。
生のエネルギーに溢れながら、悲しさや苦しさが覆っている。いや、悲しさや苦しさこそが生のエネルギーを作り出している。
現代の映画でもエナジーのあるものはあるが、そこには必ずやるせなさや空虚さが付き纏う。ザンパノもジェルソミーナも悲しみや苦しさ、その根源にある孤独に対面しながらも、世界に対しては非常に開かれた存在として描かれているのが決定的な違いか。安易な閉塞感や孤独感ではない。

昔、コクトーが著書の中で映画がカラーになることへの痛烈な嫌悪感を示していたが、それに納得してしまうくらいこの映画の白黒は本質的な人間の在り方を克明に映し出していた。

それからジェルソミーナ役を演じたGiulietta Masinaがすごい。というよりジェルソミーナがすごい。映画が女優を写すとき、それはキャラクターとなって、外見的美醜ではないところで輝き出す。あんま言いたくないけど日本の商業もこういうの少しは思いだしてくれ!と思わずにはいられない。
habtex

habtex