チダ

GONINのチダのネタバレレビュー・内容・結末

GONIN(1995年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

人生どうしようもねえやつらが人生賭けて一発逆転!っていう映画が多い中GONINはどうしようもねえやつらが人生賭けて自業自得のまま最後までちゃんとどうしようもなくなっていく映画だった 悲しい…
バイオレンスものの破滅の美学的な側面は感じつつも狂気と死の匂いに満ち満ちててどこまでいっても虚しかった

萩原帰宅パートがホラーものとしては百点満点の仕上がりでビビり散らかしてしまった マジで怖すぎちゃってるだろ!!!!!!!!最近見たどのホラーものよりも怖かったです
萩原宅の娘の死体と同じ部屋で京谷と一馬がセックスする構図、拷問で殺されかけるジミーの横で強姦されるナミィーの構図 生と死のコントラストがギラついててすごいな…と思った 万代のキスシーンもそうだけど 生と死がずっと表裏一体
愛する万代の後を追って自殺することも捨て身の覚悟で報復することもできなくて重たい錨を体に巻きつけ引きずりながら港を歩く三屋、”普通”すぎて頭抱えてしまった
暴力性を見込まれて暴力団からスカウトを受けるような鋭い男が好きになった男のために自分の命を捨てることもできずにふらふらしてるのが……
五人の中では一人だけ特に金に困って追い込まれてって動機でよりはおそらく万代に惹かれて加わっただろう三屋、そうだよなあ…それが普通なんだよ……そういう意味では由来やパッと見が一番普通のカタギに近いけど既に狂い切ってた萩原とは対照的な男だったな〜と思った
遺骨を抱えて万代の故郷へ行く三屋、愛した男を殺された者同士が相討ちで終わって、観光バスはそのまま万代の故郷へ向かって進んでいって終わり 呆然としてしまった
静かに血を滴らせながら遺骨を抱えて窓の外の景色を瞳に映し続ける三屋 観終わったあともぼんやりラストシーンからエンドロールに向かうシーン、最期のキスシーンのことを考えてしまう

あと話的なことは一回置いといて若い時の佐藤浩市と本木雅弘美しすぎ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ビビっちまったよ!!!!!!!!!!!!!!!
佐藤浩市、CUREの時に真面目な壮年の刑事がどんどん狂わされていく静かだけど厚みのあるくたびれた色気が美しいなと思ってたけど若い時の佐藤浩市は世界を狂わす側の匂い立つような色気がすごくてなんかハラハラしてしまった
センターパートのもっくん色気すごすぎてこんなんバブル崩壊後とか関係なく三屋が男娼で一億稼いで世界獲っちまうよ!!!!!!今から三屋が万代さんと一緒に夜の世界で成り上がっていくシンデレラストーリーになりませんか!?!?!!!ってなった(残念ながらなりませんでした…)
キスシーン、キスなんかしなくていいから生きろ万代!!!!!!!!三屋のために………って願ってしまった
万代は三屋と出会った時から悪夢に見るくらい心の奥で惹かれてたけど別に口に出すでもなくキスで逃げるの、ズルすぎるなと思った
万代も家に誘われた時からずっと三屋に惹かれてたんだろうなとは思った、じゃないと最後まで参加しなかっただろうし船で逃げる時もあんなに楽しそうじゃなかっただろうし… ズルいな〜〜〜〜〜〜本当に……悲しいロマンスだ……

知的で親しみやすいおじさんのイメージが強い竹中直人が一見して冴えないながら底まで狂気に侵されたマイホームパパの役を演じきっててすごかった エンドロールではじめて竹中直人って気づいたくらいだったので…役者さんって本当にすごいな…
ビートたけしはもう今更特に言うこともないくらいちゃんとクレバーでちゃんと狂っててちゃんと恐ろしい男だった
全員多かれ少なかれ狂ってる男たちが金を巡る熱狂と狂気の渦に飲まれてそのまま死んでいく、虚しい映画だった 好きだな…
何回もは見れないけど時間が経ったらまた、この映画を見たことない人と一緒に見たいな…
チダ

チダ