ふぁんたずま

大人は判ってくれないのふぁんたずまのネタバレレビュー・内容・結末

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

たくさんの人などが集まって、時に騒々しいさまを、時に整然とした様子を見せている群衆のモチーフがだいぶ顕著な映画に思えた。序盤から教室や校庭でのガキたちがいたずらするは殴るは騒乱って感じだし、並んで歩くシーンがずっと出てきたり(少しづつ減っていく俯瞰のシーンは引用らしく、意識的なんだろうと思う)。とりわけ印象深かったのは、人形劇のシーンで見つめる子供たちの顔、顔、顔…という集合(差異とうじゃうじゃ感のミックスがだいぶ衝撃的だった。もう一回見たい。)と、鳩が走りの結果として綺麗に一斉に飛んでいくシーン。

子どもの性みたいなテーマが扱われている映画だと勝手に思って生きてきたのだけど、実際見てみると「扱われてそうで扱われてなくてでも少し扱われている」みたいな感じだったな(最終盤の寝た寝てないの話以外に明示されていない(と思う)から、だいぶ唐突でびっくりした)。
テーマもあって母親の性は前景化されていて(鑑賞中、先端も含めて胸部が強調されてないか、と思ってしまう自分自身を自制する感じがあったんだけど、中盤で父親に服の上から揉まれるシーンがあって、制作陣もそうなんだな、と思ったり思わなかったり)、若干それがアブノーマルな雰囲気を漂わせてなくもない(主人公が裸で母親のベッドに入るシーン、とくに臀部が映るカットはだいぶ衝撃的だった。厳しいのが悪くて…への反省からちょっと距離感バグる感じなのもあれ。)。

それ以外だと、友達と二人で歩いているシーンで声が聞こえないけど雄弁な身振り手振りが伺えるシーン(いとおしい)や、主人公がアトラクションに乗るシーンで、そこから見た回転の速さの提示と主人公の顔の提示を交互に繰り返す下り(酔ったところで顔と向きあってまた酔って、という感じで、感覚が繋ぎ合わされる感じだった)が印象的。