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番格ロックの一のレビュー・感想・評価

番格ロック(1973年製作の映画)
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かっこいい!もうほとんどロバート・アルドリッチ的な、敵対し戦うことで魂を響かせ合う女と女の精神的レズビアン世界。銃口はその戦いを阻害しようとするものに向けられる。山内えみ子と柴田鋭子(『13階段のマキ』の牢名主役でした)の二人は、たしかにスターではないが、クロースアップでバッチリ決まるイイ顔をしている。ジョニー大倉の綺麗な歌声をバックにズベ公たちが都電に乗り込みケンカに向かうOP。彼女らのテリトリーは池袋や赤羽だ。この垢抜けないロケーションも魅力のひとつで、キャロルの演奏シーンを除けば、不良少女がくだを巻くのは洒落たバーや喫茶店ではなく"もつ焼き"の赤提灯がぶら下がる居酒屋だし、山内の実家があるバラック集落もすごい。ネットで読める内藤誠のインタビューによれば、そこは意図的に赤羽の朝鮮部落で撮影したらしい。つまり、この映画は民族対立の話でもあったのだ(しかし柴田鋭子の役名は何故か"アラブの鷹"!)。映っているものだけではわからない脚本の深層。出演カットは少ないが、初井言栄や山谷初男や小松方正や絵沢萌子や室田日出男や沢田情児と端役が豪華。
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