土偶

サンダカン八番娼館 望郷の土偶のレビュー・感想・評価

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
4.1
ずっと見たかったけど、あまりにヘビーな内容で二の足を踏んでいたがやっと見た。
いわゆる「からゆきさん」について書かれた山崎朋子のノンフィクションが原作の貧困のためにボルネオ、サンダカンの娼館に売られた少女の物語。
社会福祉もセーフティーネットもフェミニズムもなかった時代、一度陥ると殆ど逃れることのできなかった農村の貧困がいかなる悲惨なものだったかがひしひしと伝わる。
サンダカンの娼館の話だけでなく、老婆となって故郷の天草で暮らす貧乏な様もすごいものがある。
前に観た同じ時代設定の「はなれ瞽女おりん」と感触が似ている。
この時代の貧困に落ちて虐げられた女性の悲惨さはとてつもない。
そういえばこの映画の直前に観たエゴン・シーレの物語も全く同じ1910年代あたりの話だった。
一見するとこの時代がクソだったように思うけど、この時代になってようやく今まで当たり前とされていた社会のクソさが目につくようになってきたわけで、社会の変わり目の時代でもあったのだろうな。
時代を経て人間社会は進歩してますな。
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