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隣のヒットマンの都部のレビュー・感想・評価

隣のヒットマン(2000年製作の映画)
3.2
思わぬ掘り出し映画でしたね──隣人の殺人鬼のトラブルに巻き込まれる小市民の姿を描く喜劇として無理のない範囲で展開の手数が多く、またシチュエーションコメディとして後半の状況の混迷ぶりは中々楽しい。
登場人物の大半が裏社会の人間であることもあり、人間の命が軽々と扱われる一般的な価値観とのズレが引き起こす波及を、主人公のオズが一身に受けることで生まれる不憫な一挙一動からはささやかなユーモアを感じ入ります。彼が殺しには惜しいほどの善人であるという設定があっての展開の攻防もあり、そのクセ しょうもない小ネタを挟んでくる感じは可愛気があって嫌いではないですね。

オズの歯科医であるという設定がフレーバーテキストに終わらず、後半の展開の緩急に組み込まれる布石の拾い方は小粋。またコメディゆえに現実的な考証を前にすれば明るみになるような荒さはあるものの、設定と人物の噛み合わせの上手さはお馴染みのハリウッド映画の脚本術を感じさせるもので、一定以上の面白さは常にキープし続けた作品だったかなと。
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