・ジャンル
スラッシャー/ホラー/カニバリズム
・あらすじ
LAを目指し砂漠地帯に車で通りがかったカーター家の面々
父ボブと母エセルらはついでにそこで銀の採掘を計画していた
立ち寄ったガソリンスタンドの主人フレッドは既に銀は40年前に取り尽くされた事と本道を決して外れてはならないという警告を伝えるがボブは聞く耳を持たず
そのまま一家は道に迷った挙句、事故に遭い立ち往生となってしまう
やむなくボブはガソリンスタンドに戻り、婿のダグは軍の補給所へ助けを求めに向かった
間も無く飼い犬2頭の片割れが逃げ出した事から息子ボビーはそれを追っていくがその先で目にしたのは無惨に殺された姿…
しかしそれは惨劇の始まりに過ぎなかった
彼らは砂漠に巣食う食人一家に狙われていたのだ…
・感想
ウェス・クレイヴン御大によるソニー・ビーン一族をモデルとした食人一家の脅威を描いたシリーズ2作の1作目
後に原題通りの「ヒルズ・ハブ・アイズ」として日本で公開されたリメイク版シリーズは完走済みで原作であるこちらはまだ観た事が無かったので鑑賞
基本的にはリメイク版とそう変わらない世界観である事から忠実に製作されていたんだなぁというのが第一印象
しかしやっぱりこちらが本家というのは醸し出すムードや殺人一家のキャラ造形などのシュールと狂気の狭間を行く感じなどから強く感じられる
方向性としては同じくソニー・ビーン一族をモデルの1つとした本作から3年前公開の伝説のスラッシャーの原点「悪魔のいけにえ」に近しい物がありつつ、あそこまでぶっ飛んだキャラが登場する訳ではないので観やすく感じる人が多そう
かといって殺人一家のキャラが薄い訳では勿論なく息子の1人プルートはゲスいのにどこか憎めず、唯一まともな感覚を持つ虐待される娘ルビーも幸薄い美しさがあって印象的
また犬食や動物の鳴き真似といった一家の原始性を示唆しつつ文明を使いこなしていたり、プルートからレイプ未遂の被害にあったカーター家の次女ブレンダの恐怖に呑まれる様など繊細な描写も端々に見られてそういう部分も魅力的に感じた
肝心のゴア描写に関しては時代的な事もあり大分ソフトめではあるものの犬食や食人の匂わせ、夫の瀕死を受け入れられず発狂するカーター家の母エセルの姿など鑑賞者の想像力で補わせる部分が巧みなので気にならない
逆にその物ズバリを視覚的に見せない事で猟奇性をジメッと感じられる点が素晴らしかった
そういった心理に訴えかける感じはウェス・クレイヴン監督の後の大ヒット作「エルム街の悪夢」シリーズにもあったしそういうのが得意なんだろうな、と
しかしこの時代で既に核実験のもたらした影響というのを食人一家の成り立ちにしていたの改めて凄いよなぁ…
リメイク版シリーズの2作目は軍と食人一家の戦闘が描かれていたけど本家の2作目である次作はどうなっているんだろう?
今作の様にホラー/スラッシャーとコメディの塩梅が上手く保たれていれば十分楽しめそうなので期待