観返す度に好きになっていく映画です。
冒頭、主人公バリーの目の前で1台の車が大クラッシュを起こす。
さらにもう1台別の車がやって来ては、小さなピアノをバリーの目の前に棄てて走り去っていく。
これから訪れる「ちょっとした厄介」と「人生最高のロマンス」の訪れをこんなかたちで表現するなんて、素敵すぎやしませんか。
その後、はじめて二人が出会う時、まぶゆいばかりの青いフレアに包まれた、まさに「パンチドランク=強烈な一目惚れ」の瞬間の美しさや、今までどこにもぶつけることの出来なかったバリーの癇癪が、恋人を守るための「力」としてはじめて使い道を見つけるというのもまた、もう。
「マイルがたまればどこへでも行ける」なんて恋愛映画らしからぬ現実的な単語すらもこの映画のなかでは超絶ロマンチックな言葉に聞こえてくるしで、何なんだろう。
PTAらしいシンメトリーな画面構成や、夢のような色使いと映像、音楽、もうすべてが好き。
シンプルながらも少しも王道なんかじゃない、ちょっとおかしな極上の小品。