久しぶりの台湾作品。
ふらふらと定職に就かず生活している中年チンピラのガオ(ガオ・ジェ)は弟分のピィエン(リン・チャン)とその恋人マーホァ(伊能静)とお金が入る仕事を求めて彷徨う。
ストーリーらしいストーリーはなく、ひたすらに40代にして根無草のような生活をする中年チンピラの悲哀に満ちた日常を描く。
兄貴分に賭博の仕事があると呼ばれれば赴き、儲けの出そうな政府の土地買収話があれば首を突っ込み、上海にレストランを構えるという夢だけは一丁前のガオ。
弟分のピィエンとその恋人のマーホァは行く先々でトラブルを起こしガオを困らせる。
一見しっかり者に見えるガオも恋人アイン(シュウ・グイイン)に愛想を尽かされかけているところを見ると彼もまたまともな人生ではないことが垣間見える。
"君はいつも計画的だから"
土地と養豚場買収の儲け話で大きな稼ぎを挙げた祝杯の席でも、飲み過ぎて悪酔いした彼に残るのは大金の余韻ではなく自分の情け無さだ。
"このままじゃプロポーズもできない"
"社会に出てから何も残してない"
ピィエンのメンツを守るための喧嘩も、いよいよ来るか!と思わせておきながら、そんなフラグをへし折る無様な終着点を迎える。
田んぼ道に情け無くはまった車の中で、安否がどうであろうとガオの無様さは一切損なわれない。
そんなどん詰まりのガオたちでも、バイクで坂を登るあのシーンだけは輝いて見える。切り取られたあの生き生きとした雰囲気は、鬱々とした人生であっても刹那的な輝きは決して失われないと伝えてくれているのだろうか。
走る車の中からの長回しの撮影が印象的だった。台湾のあの雑多でノスタルジックな街並み、また遊びに行きたいな。