陽炎ゆらめく地平の向こうから1人の男がやってくる。
彼がやってきたのは湖畔の町、ラーゴ。突然の来訪者に住民たちは異様な眼差しを注ぎ続ける。
イーストウッド監督・主演の西部劇第1作目。
これまで見てきたレオーネの西部劇とは明らかに違う。レオーネの西部劇が視覚的なショーであるのに対し、イーストウッドの西部劇はドラマだ。
平和で秩序だっているように見える町、ラーゴ。
しかし、それらの根本には偽善と瞞着に塗れた正義と道徳があってのものだった。
イーストウッドは町を破壊する（再生する）者として現れ、その凄腕の銃捌きをもって町の秩序を再構築していく。
ラーゴに暮らす人々誰もが欺瞞に満ちている。
小さな町で生きていく上でも、誰かに怯え、権力の支配下に置かれている。そして、チャンスがあれば誰かの足を掬おうと待ち伏せている。
唯一純真なのは、土地の持ち主であったろうインディアン達。
イーストウッドは彼らにだけは無償の施しをする。
社会的マイノリティの擁護や差別問題の主題はこの頃から既にあったのですね。
