なまにく

精神のなまにくのネタバレレビュー・内容・結末

精神(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

外来の精神科診療所「こらーる岡山」に集う様々な患者たちを観察するドキュメンタリー。当時は小泉政権のもと、「障害者自立支援法」が可決された2005年秋。自立や自己責任を強調される生きにくい時代に突入する中、人々が目を伏せていた現実をしっかりと映し出す。
山本昌知医師の態度は診療所の事務員とは違い、患者との区切りをしっかりしている。しっかり聞いているのかなんとも言えない相槌で、自立を保ち、患者と話す。映画を観ているだけで感情移入してしまう私にはできない所業。それでいて患者を助けたいという強い精神が他者に伝わっている。背中で語る男。
土日に出歩くのが億劫の人達にきっかけを与えられるよう、イベントチラシを壁に貼る。決めては「いかに安いか」。安定した収入を得られず、医療費を払い続けている故に精神的に肩身が狭くなっていく。仕事どころか家事さえできない。大体が生活保護で、それでも家庭を持つ者は飯を食えない時もある。
山本医師のような、しっかりと患者と話を聞き、処方箋も与えるところは中々ない。今はクリニックだと医師と話す時間は5分弱、90分のカウンセリングを受けると1万は軽々飛ぶ。それを毎週受けると金銭面の不安が遅い、通わなくなることもざら。ここ数年はメンタルヘルスの需要も増えたが、設備はまだまだ。
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