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「精神」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

その人の家とか、その人のいる場所はその人に似ている、と聞いたことがある。山本先生のクリニックも同じで、古くて小さくて、優しい空気がただよっていて、とても居心地が良い。患者さんたちが安心して過ごせるオアシスだ。

目を合わせる、笑いかける、あいさつする、話をする、体にふれる。SNSでいいねをもらえることもそうかもしれない。小さな積み重ねで、私たちは毎日誰かから「あなたはここにいていいんだよ」っていうメッセージを受け取っていて、それがあるから生きていけるのかもしれない。

この映画に登場する患者さんの苦しみから比べたら屁でもないんだけど、私も今ちょっと心に迷いがある。だから、作中に登場するヘルパーさんが患者さんに、「このへんをちょっとお掃除してごらん、きれいになってくると元気が出てくるから」と言っているのを聞いて、ああそうかと思ってひととおりお掃除を済ませると、少しいい気分になった。

にんべんに憂うと書いて優しい。憂いを持っている人ほど優しい。相手の傷に包帯を巻くことが、自分の傷を癒す。はいカット!っておどけながらも、真理を語るスガノさん。スガノさんの言葉はどれもまっすぐに私の心へ向かってきた。スガノさん自作の詩と写真も。かんたんな言葉しか使ってないし、伝えたいこともみんなが知ってることなのに。

患者さんたちの苦しみや痛み、そして優しさが伝わってくる一方、その近くに彼ら彼女らによって傷つけられたり重荷を負っていると思われる人の存在も感じられて、感情が揺れる。とあるいきさつの中でトンカツ弁当を食べていたという女性の話とか、頭の中にインベーダーがいてそいつが5年にいっぺんくらい悪いことをすると話す男性とか。インベーダーとはまた別の男性が、怒りの感情のまま原チャリに乗って走り去るラストシーンには、やはり怖さも感じる。患者さんたちをとりまく優しい空気を描きながらも、やはり危うい存在でもあることを描いている。最後に冷や水を浴びせられるけど、この描き方はとても誠実だと思った。
岡山のとある精神病院を追ったドキュメンタリー。
映し出しているのは、人間のモロさ、切なさ、たくましさ。
ハリウッドが描く様な奇怪な精神病患者などいないのが分かる。
合間に挟まれる自然描写にホッとする。
gigigi

gigigiの感想・評価

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こう言うドキュメンタリー大好き。たんたんと、精神病患者がどう生きているか。うつしてくれる。ナレーションもなんもいらない。ただただカメラに映った人が喋る。最高。追悼のあのおばちゃん、自殺したんかな。
観終わった後、だんなに、仕事が嫌ならやめたっていいんだよと言っておいた。どうせ生きるなら楽しいことしてくれ。
asa

asaの感想・評価

3.5
愉快でいたい!笑顔でいたい!
自分への偏見を取り除けたって、すごいね、かっこいいね
精神の領域に携わることで、自分にとってもセラピーになる
あえてノースコア
でも、みんな観るべき作品だと思う
観て何かをしろとか考えを改めろとか言わないけど

子どもを死なせてしまった女性の話、学生の頃に授業で観たことがあることに気付いた
その時は安直に「変な人だな…」としか思わなかったけど今見ると全く違う印象を受けた、、、内容が、、、
そしてあの頃の自分を引っ叩きたくなったと同時に(でもそれがリアルだよな…)と否定はできないもどかしさがある

精神疾患は誰でもなり得るしその『カーテンの向こう側』の実態は本当に辛いもの

たった一言で傷付くことがあるし
元気そうに見えても内心は落ちている
でも人を救えるのは人だけ
生きるって難しい…

今作はそんな地続きにあるカーテンの向こう側をBGMもナレーションも無く本当にリアルに収めていて、山本さんのカウンセリングは素晴らしい
しっかり話を聞いて、なにをしたいの?どう思うの?と、患者さんの意思を大事にして平等に向き合う姿と人柄に強く惹かれた

顔出しで出演を許諾してくれたってのも凄いし、あそこまで話を聞けるのも想田監督の手腕なんだろうな…

そしてスガノさんのポエムも良い
明るさって大事!
「優しさって人に憂って書くだろう。
憂が多い人ほど優しくなれるんだ」

少し温かさがあって前向きかな、と思ったのにあのラスト、そしてエンドロールの追悼にまた苦しくなる…

理解されたくても理解してもらえない
理解したくても理解できない
コミュニケーションの難しさを叩きつけられた

「自分で自分の偏見を無くす」
この言葉を大切にしたい

このレビューはネタバレを含みます

患者さんも関係者の方も、よく撮影・放映を許可してくれたなぁと思った。
余計な演出や編集の感じられない、撮りっぱなし(の訳はないだろうが)とも思えるような、ありのままの姿。
身体障害や知的障害と異なり、情緒障害や精神疾患は、性格上の問題と思われたりしてわかりにくいだけに偏見を持たれがちだ。
でも、ある患者さんも話していたように、完璧に健常な人間なんていないと思う。誰だって、ほんのちょっとしたきっかけで精神が病んだり壊れたりすることがあるかもしれない。それが、治るのか一生付き合うのかは、そうなってみないとわからない。
多くの人に見てほしいと思う。
具合悪いね、つらいね、ばらばらだ。みんなめちゃめちゃタバコ吸うね。すがのさんの詩、特におかあさんの、良かったなぁ。私もお腹すいたよ。土足コラって思ってごめんなしゃい。
子を見殺しにする母親も、冗談しか言えないおじさんも、現実と期待との間の差を思い知って絶望する。

絶望を許さない社会では、彼らは生きて行けない。彼らすら生きていけない社会では、絶望するしかない。
Midori

Midoriの感想・評価

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よく聞くこと。
ここに出てくるケアラーの人たちは、一方向性のコミュニケーションが人々の中に生んだしこりのようなものを取りのぞいていく作業をしている。
他人のおばあちゃんの家みたいな古い病院、終日喫煙可、先生の給料10万の衝撃、患者はごろ寝。正直私もあそこでごろ寝したいと思った。それはきっとあの場所では社会に居場所がなくてもうまく生きられなくても否定されずに許されてるから。菅野さんのかいた詩の優しさ沁みた。
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