今しかない。今しか。
ヘロイン中毒の若者たち。やりたい放題の彼らだったが、徐々に変化が訪れるーーー
刹那的に生きる若者たちを疾走感と共に描ききった90年代を代表する名作。一秒も退屈することなく、走りきった90分。
「ただのヤク中」として一纏めにできない、刹那的人生の数々が印象的。喧嘩中毒で揉め事ばかりを起こすアイツ。気取ってて偉そうでいつもウザいアイツ。根は良いけど薬に溺れまくってるアイツ。後から勢いでクスリを始めたのに、最初におかしくなっちゃうアイツ...
そんな仲間たちの中で最も賢いのが主人公だ。自分を隠して「偽装」するのが得意な彼。退薬症状の苦しみを乗り越えて一度は普通に働いてみせたりもする。彼だけが器用で、嘘つきなのだ。だからこそ、“普通の暮らし”をするんだと嘯いて歩き出すラストが成立する。
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クスリの演出が過剰すぎないのも好みだったな。サイケアート大喜利の画力でゴリ押しことなく、地に足がついた人物描写で魅せる堅実さが傑作たる所以かな。良い映画だった。