このレビューはネタバレを含みます
長い悪夢から醒める時の爽快感
1990年代、スコットランドの若者たちの映画
薬物中毒の主人公の心は閉鎖的で先の見えない日々に耐えきれなくなり‥
世界の転換期、
ゴロツキ青年がどうしようもない日常をかえようともがき苦しむ様子が時に痛く、爽やかに、汚くて愚かしくも最高にかっこよく描かれる。
薬物の離脱症状に苦しむ場面はおぞましくそして不思議な魅力。永遠に続く電車のように伸びていく部屋が彼のどん底まで落ちる激烈な苦しみを視覚的に味合わせてくれる。
その他ショッキングな場面、展開もいくつかあり、彼らを取り巻く現実的な薄暗さ、息苦しさを描いている。
主人公たちのキャラクターが、個性が、その鬱屈した世界を軽やかに、中和する。
スコットランドが舞台ということがあり、
彼らの持つ思いの根っこにあるものだとか、そういったことを調べて知れるのも良かった。
ラストシーン、Underworldのbornslippyが静かに鳴り出し、レントンがねむりこける仲間たちをホテルにおいて外に出てロンドンの橋の上を
一人不敵に微笑みながら朝日の中歩く。
音楽が大きくなっていく中でレントンの言葉が紡ぎ出される。
見るものに語りかけるような、まるで走り始めた電車のようにリズミカルで切なくて
仲間を裏切ってまで得た希望に息弾ませるようなそのセリフは耳触りが良くて
エンドロールに流れるように続いていく。
今年最高に好きなラストだと思う。
若い人が自分の世界の閉塞感に苦しみ、もがく日々、切ないほどの息苦しさとその中の一筋の希望。
音楽も映像もスタイリッシュで、オレンジと黒のイメージも斬新。
25歳のユアンマクレガーはまだ華奢で繊細そうなのに、にやりとした笑みに見られる圧倒的ふてぶてしさが最高にかっこよくて虜になります‥