戦後8年間。戦友の遺書を苦労しながらも配り続けた男。その原動力は「怒り」だった。
それはお国のために戦って死んだものに対する周りの反応だったり、戦後すぐに戦争のことを忘れてしまうような国民や戦争を起こした国家そのものへの怒りかもしれない。
静かだが、渥美清の力演が光る佳作。
それにしても昭和の時代はまだまだ人情というものがふつうに溢れている時代だったなぁ。もちろんいつの時代にも薄情者はいるわけだが、露骨な薄情者はほんとうに少なくなったと思うけど、人地味がある人間もそれ以上にいなくなってしまった。そんな気がする。