あゝ声なき友の作品情報・感想・評価

あゝ声なき友1972年製作の映画)

上映日:1972年04月29日

製作国:

上映時間:105分

ジャンル:

3.5

あらすじ

「あゝ声なき友」に投稿された感想・評価

ゆ

ゆの感想・評価

3.7
部隊で唯一生き残った西山(渥美清)が、終戦後に8年掛けて戦友12人の遺書をそれぞれの遺族に届ける話。

渥美清主演、戦争と手紙の話である点で『拝啓天皇陛下様』に似ているけど、『あゝ声なき友』はコミカルさは一切なく終始重い。

手紙はもちろん宛名人のことを思って書かれているが、実際に手紙が受け取られる時には宛名人の境遇は戦争によって大きく変わっていて、手紙は届いたとしても差出人の思いは届かず、その意味で西山は手紙の配達に失敗する。

「今更あんな手紙どうでも良かったのよ」

有馬頼義の原作を読んだ渥美清が企画・主演した作品。有馬頼義は増村保造『兵隊やくざ』『赤い天使』の原作者でもある。
mh

mhの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

全滅した部隊のたったひとりの生き残りが、預かった遺書を渡すため、戦後八年かけて遺族のもとに届ける話。
正統派のお涙ちょうだいかと思ったら、そんなことはなく、むしろこちらの予想を外し続ける変化球ばかり。
ようやく見つけたら家族を殺して死刑になってたとか、戦友の奥さんに横恋慕した男とか。予想なんてできるはずもない。
そういった訪問先の人間模様と、戦後の混沌を主人公の渥美清とともに巡っていく。
主人公が小器用なのも面白くて、板前としての腕はあるし、旅芸人たちに混ざってもうまく雑用をこなしていく。渥美清のはまり役ってわけではないんだけど、出てくるひとがオールスター俳優陣でそういった部分も楽しかった。
精神疾患で隔離されてる奥さんとか出てくる。のちにどうやってこの伏線を回収するのだろうと思ってたんだけど、まさかのやりっぱなしでびっくりした。
「残飯シチュー」のことをこの映画では「進駐軍シチュー」と呼んでいた。
山形の温泉宿は、いまと形態が変わらなかった。
戦地で所在を確かめたかったら、「役所から部隊長あてに公文書でたずねる」という方法があったらしい。
ラスト、なんでこんな遺書を配り歩くなんてことをしていたのか自分で気がつく。怒りが原動力だったのだ。
もういやになったという結論も新しかった。
面白かった。
azkyon

azkyonの感想・評価

3.8
戦後8年かけて戦死者の遺書を届ける話。

戦後の復興で国も変われば人も変わる。
遺書を届ける先の家族もそれぞれで、戦争がいかに酷くて虚しくて哀しいことか知らされる。
lag

lagの感想・評価

3.6
板前をやってた故郷は東京の兵隊さん。四十度の熱を出して内地送還。部隊は全滅。戦友に託された遺書を終戦後八年かけて配達する。最初にやにやしながら見ていたけれどその後の話し方と表情でわかった。ああこれは少しも笑えないやつだ。

巣鴨から出てきた大臣の父。駅で帰りを待つ姉。後を継ごうとした医者の父。廃人になった妻。虐待してきた親戚一家を皆殺しにした弟。原爆に。焼け野原で行方不明に。進駐軍相手に。再婚。初恋。

手紙の検閲。屍は返事をしない。声無き訴え。生き残る者に対して死に逝く者ができること。忘れるということ。なにを望むの。法律も人間も死生観も信じられない。疲れた。なんとも言えない。でも観てよかった。
otomisan

otomisanの感想・評価

4.5
 生きて虜囚の辱めを受くまじと教わって兵になるのだそうだ。そんな日本兵が投降すると米軍尋問官に皇軍の内実、兵備、行動、士気、意外にもよく口外するのだそうだ。生きて売国利敵の恥をさらさぬ教えが無いと、捕虜になっても何が国のためになるか、またならぬか訳が分からなくなるのか。それとも、だからこそ死ねと教えるのか?
 渥美の隊の出動先はガダルカナル島だという。のちの別名は"餓島"という。戦闘で死に、また文字通り、補給を断たれ飢えて死ぬ。兵が生きて戻った例が稀な島だ。そこから知恵を巡らして生還した男が自身の遺書の送り返しに苛まれる。たぶん。
 死ねと引導を渡され兵になり、ひと度は娑婆に戻り再度召集を受け、妻への遺書にはどんな清らな事を書いたろう。補給も叶わぬガ島から自軍の手筈でどうして離脱できようか。おそらく僚友に顔向けできぬ方法で生還したのだろう。送還されれば妻には新たな男があって別れられぬという。ならばと離別し添い直した街娼の女と三年。そこにもう一人の生還者渥美が遺書を携えてやって来る。
 命令通りに働いて二人以外みな死んで、一人、渥美は全隊の輿望を担って遺書を届け続け、今一人は死者続出を尻目に生還。頭良く立ち回っても今、何が幸せだろう?そしてまた、遺書が渥美が現われて生きて戻った居づらさを思い出させるか?それとも、死んだ仲間が頭をよぎるのか?
 戦う事なく帰還した渥美が生きてこれある時間を遺書配達に費やす事の律義さ誠実さに感じる美しさとは裏腹に、受取人の事情は無残だ。一方、餓島戦を経て生還した男はそんな事は忘れろという。僚友はみな死んで、渥美だけが気付くかもしれない生還の事情が、渥美と遺書の来訪でまた男の脳裏によみがえるのだろう。渥美は忘れる事を、世間も誰も忘れ去るのを怒るが、あるまじき事も含め戦場の全てを知っている男はそれだからこそ忘れ去ることも怒る事もできないだろう。それでも案外そんな男の事情を理解できるのも渥美ひとりなのかもしれない。カウンターの男が渥美の去ったあとをじっと見ていて、ふとそう思った。
渥美清がプロダクションまで作って製作した映画。チョット偶然が多すぎな感じ。小川真由美のエピソードは、渥美清が性的な事ありで新鮮。倍賞千恵子の米兵の死体処理と言うか今で言うところのエンバーミングは、社会派今井正監督突っ込んでくる。後のエピソードは、あるあるで大変だなぁと。逆奥崎健三のように遺書渡しまくる。個人的には、北村和夫のエピソードが泣けてきますね。渥美清は、戦後四半世紀経って戦争がなかった事にしてる日本人に腹が立ったのだろう。
ちょみ

ちょみの感想・評価

4.2
春日太一が薦めていたので気になって鑑賞。
期待以上の名作だった。松竹オールスター出演。
亡くなった戦友たちの遺書を届けていく中で出会う人情劇。最後の渥美清の台詞はまさに今の時代にも投影したい。
復員兵の渥美清が、戦後になって戦友らの遺書を配り回る。
結果的に戦時中の傷をほじくり返すことになる、やり場のないロードムービー。

終盤の居酒屋の居心地の悪そうなこと。
「死んだような目」ってのは北村和夫のあの目のことを言うんだろう。
戦争末期、渥美清が所属する部隊は南方へと転戦したのだが渥美清は病気により内地へ帰ることに、その時に部隊員たちに遺書の受け渡しを頼まれたのだった

終戦後、なんとか日本に帰ってきた渥美清は遺書の受取人を探すのだがそのほとんどがどこに行ったのかわからない
さらに自分が生活していくだけで精一杯の戦後の混乱期、なかなか探し歩く余裕と時間がない
それでも託された遺書を全て届けなければと、自分の生活を犠牲にして受取人を探し続ける、、、

【感想】
劇中ではラストまで戦後8年間の日々が描かれています
そもそも遺書を届けるって時点でいい話じゃないし、特に感謝されるわけでもなく
むしろその反対で、今更こんなもの持って来てって、つらい思い出の戦争を蒸し返すようで、実際に遺族に手紙を届けても嫌な思いをしてばっかりで、、、
南は鹿児島から北は北海道まで、その旅費にしたって全部自腹
それでも配達を続ける渥美清の姿が見ていてつらい

感動モノっぽくも出来そうなストーリーなんだけど、すっごい現実的に淡々と進んでいきます
なんて言ったらいいか難しいけど、、、戦争によって人生を狂わされた人たちを訪ねる的なストーリーになってます
そのほとんどが癒えない心の傷を抱えていて、渥美清が来ることでまたいやな思いをしちゃうっていうね
こんな配達続けてたら病んじゃいそうなお話、実際後半に行くほど渥美清もやつれていきます
それだけに戦争が生み出す悲劇を生々しく描けていると思います

渥美清が企画に関わっていて、「渥美清プロダクション」なるものを設立してまで映画化した作品なんだとか
皆さん出演シーンは短いんですが、凄い豪華キャスト(小川真由美、倍賞千恵子、長山藍子、市原悦子、悠木千帆etc)な映画でもあります

印象的だったエピソードは
受取人倍賞千恵子は米軍基地で死体洗いのバイト、出征した弟と待ち合わせをした博多を離れることができない
受取人市原悦子は温泉宿で渥美清を按摩する、帰り際にもニアミスするんだけど本人だと気づかないまま別れちゃう
受取人志垣太郎は親戚一家皆殺しの死刑囚で三ヶ月前に処刑されていた

特に志垣太郎のはもう少し早く届けてあげられたら、、、って思わずにいられない辛いエピソード
nagaoshan

nagaoshanの感想・評価

3.7
今井正監督作品!

本作は渥美さんが長年企画を温めていたそうです。

西山民次(渥美さん)は戦地で重い病気にかかってしまい、快方に向かうが除隊を命じられる。
戦友12名の遺書を託されるが、やがて部隊は全滅したことを知り…


足掛け8年もの歳月をかけて残された家族、奥さん達に遺書を届ける事にだけを使命に日々を過ごしていくが…


人情俳優の渥美さんらしい主題ではありますが本作は現実のあまりの悲惨さ非人情さこそを描いて行き、主人公の民次は残された人の救いの無さに疲弊していきます…

ラストの独白シーン…

なぜ、そこまでして遺書を届ける事に執着していたのか?
辛すぎます(T_T)

救いがありません…

特に残された奥さん達の末路は悲痛すぎる…

辛い良か映画!
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