マヒロ

ファミリービジネスのマヒロのレビュー・感想・評価

ファミリービジネス(1989年製作の映画)
3.0
精肉工場を経営するヴィトー(ダスティン・ホフマン)の息子・アダム(マシュー・ブロデリック)は、大学で優秀な成績を収めながらも突如中退という選択を取る。アダムはヴィトーの父=祖父であるジェシー(ショーン・コネリー)を慕っており、ジェシーがかつて強盗などの犯罪を生業としていたことを知り、彼のようになろうと強盗の計画を立てていた。父のようになってほしくないヴィトーはそれを拒絶するが、実は自分もジェシーの仕事を手伝っていた過去があり、アダムの熱意に押されて血が騒いだのか協力する事になり、親子3代での強盗作戦が始まる……というお話。

アダムは、自身を真っ当に育てようと思うがあまりに厳しい父を疎ましく思っており、奔放でワルの祖父に心酔しきっているが、そこで同じ悪事に手を染めることで和解のきっかけとなる……となりそうでならないのがリアリズムの男シドニー・ルメット監督。
慣れない犯罪に手を染めるアダム主導の強盗は要所要所でグダついて、それはそれでコメディっぽい面白さがあるんだけど、その先にあるのは犯罪に手を染めたが故の報いみたいなもので、予想以上に重たいところに話が進んでいく。

ルメット監督の作品に大体共通しているのは、時に愚直なまでに正義を貫く人という人物造形であり、好奇心で罪を犯したアダムはある意味それとは真逆の男と言えるので、ここでバチが当たるような展開はルメット世界でのタブーを犯したが故……と思うと一貫しているようにも思える。

若干ドタバタコメディっぽさを醸し出しつつ割と冷たい雰囲気に転がっていってしまうあたりがややチグハグに感じられて、どういうテンションで見れば良いのかが掴みきれない作品という印象だった。三大俳優のアンサンブルはそれだけで面白くはあったが、自分の中ではイマイチ跳ねなかったかなぁ。敬愛するルメット監督だけど、たまにこういう監督のスタイルと作風が合っていない作品があるな。

(2020.208)
マヒロ

マヒロ