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息子の部屋のchaooonのレビュー・感想・評価

息子の部屋(2001年製作の映画)
3.6
監督&主演ナンニ・モレッティ🎬
2001年のカンヌでパルムドール受賞作🏆

不慮の事故で息子を亡くした家族の喪失と再生の日々を綴った物語🌱

序盤は本当に普通の家族の幸せな日々を描いてるパートが続き、思春期の少年の起こしたちょっと事件があったりするけど、それも大問題になることなる淡々と続いていく。
当たり前のように迎える日々の営み、こんな毎日がただただ続いていくように感じる中で、突然訪れた息子の死。

私が自分の中で考えられる最悪の出来事って子供が死ぬことで、そんなことが起きたら世界の終わりも当然ではないかと考えてしまうけど、それでも日々は淡々と続いていくし、生きていくためにはやらねば行けない仕事はあるわけなんだよね。

突然沸き起こる怒りや絶望感、ぶり返す激痛。
そんなことが波のように訪れては引いていく。
静かな中にも悲しみが充満していて、なんか特別な盛り上がりや激しい感情の吐露とかはあんまりないんだけど、なんか辛くて涙が止まらなかった。

監督が自ら演じた父親役が精神科医というところも、物語に効果的な要因だったように感じる。
自分がズタボロなのに、そんな相手の負の部分に対峙したり、相手の心のケアをしなくてはいけない仕事なんて正直自分だったら続けられないよ。
冷静に対処はしつつ揺らぐ父親の気持ちが辛かった。

最後に家族に希望が差すような展開として、息子が生前出会い手紙のやり取りをしていた少女が登場する。
でも別に運命の愛とか息子が残したかけがえのない何かがあるわけでもなく、なんなら相手の女の子には他に彼氏と思しき相手がいたりして、若干意気消沈するというかそこでも大して盛り上がるわけでもないんだけど、僅かでも息子が生きていた軌跡を感じることは尊かったのだろうと思いを馳せる。

そこかしこにリアルさが漂う作品だった。
息子の部屋ってタイトルが何か効いて来るのかと思いきや、その部屋が映るシーンも大してなく、なんだよ〜と思ったけど、息子が生きてそこにいたスペースというか、物理的なものではなくて心のスペースとかそんな意味合いなのかな〜🥺
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