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ボルベール <帰郷>のbutasuのレビュー・感想・評価

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)
3.0
タイトルから「田舎で繰り広げられる家族のヒューマンドラマ」を想像していたら、娘が夫を刺し殺すわ母の幽霊が現れるわでもうこれ何の話なんだと混乱、しかし最後まで観終わった感想としては「田舎で繰り広げられる家族のヒューマンドラマ」だったわ、という不思議な映画。

とにかくペネロペ・クルスの圧倒的な美しさ。家族とか親戚が女ばかりたくさん出てくるのだが、明らかに一人だけ血が繋がっていない。失礼だが姉も娘も普通のブスで、とてもペネロペの家族には見えない。しかも最初のシーンだけでも、主人公が一生懸命周りに心を砕いているのに対し姉と娘は「早く帰りたい」オーラを出しまくり、という描写のため、正直この二人に全然好感が持てなかった。その後は先述のように話が行ったり来たりするので逆に段々飽きてくる。特に話が進むと姉のもとに現れる母のシーンが増えてくるのだが、姉に魅力がないため観ていて普通につまらない。その分、娘の殺人の隠蔽をしながら一人で生きていこうとなりふり構わず一生懸命働く主人公のシーンは胸を打つものがあった。厄介な展開や辛い展開になっても彼女は決して泣き叫んだりしないし、静かに涙して落ち着いて行動する。ペネロペ自身の魅力もさることながら、絶妙な脚本で非常に魅力的なキャラクターに仕上がっていたと思う。しかしペネロペは不必要なレベルでセクシーだったなぁ。胸の大きく開いた服を着て洗い物をする彼女を真上から撮るショットを考えた変態は誰だ。素晴らしい。

ラストに明かされる事実により、この物語が急に重みを増す。とともに、あれだけ強く健気に頑張っていた主人公が、実は心の拠り所を求めていたことが明らかになり、なんだかとても泣きたくなってしまうのだ。
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