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肉の蝋人形の消費者のレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1933年製作の映画)
3.7
・ジャンル
ミステリー/ホラー/スリラー

・あらすじ
‘22年、ロンドンで寂れた蝋人形博物館を営む彫刻家のイワンは出資者であるジョーの手で保険金を目当てに博物館へ火を放たれてしまう
ジョーは彼を殺そうと焼け落ちていく博物館を閉めて立ち去ったがイワンは辛うじて生還
そして’33年、手に火傷を負い車椅子状態になりながらもイワンは助手を数人雇い技術を教え込んでニューヨークで新たに博物館を開く
その頃、街では美人モデルのジョアン・ゲイルの訃報が騒ぎとなっていた
当初、彼女の死は服毒自殺による物と目されたが遺体に残された指紋から大物工場経営者の息子ジョージ・ウィントンが逮捕
しかし若き新聞記者フローレンスは他殺を疑っていた
遺体が霊安室から何者かに盗み出された為だ
そんな中、開店前の博物館へ入った彼女は驚くべき物を目撃
ジャンヌ・ダルクの蝋人形が亡きジョアンに酷似していたのだ
それをきっかけにフローレンスは博物館の周りを容疑者ジョージと嗅ぎ回るが…

・感想
チャールズ・ベルデンによる未公開の三人芝居である戯曲「The Wax Works」を下敷きに製作されたミステリーホラー作品
後に‘53年と’05年にも同原作は映画化されている

英語字幕での鑑賞に加えて台詞が忙しなく言い回しも古く小難しい所があったので分かりづらい部分も見受けられたもののストーリーは良い意味で古典的に狂気的な人間の業を描いた面白い物だった
ただそう感じられたのは主に後半からで資本主義者で特ダネを求めるフローレンスの話が占める尺が前半は多く少々退屈
Wikiによれば金と愛の間で揺れて最後には愛を選んだとされているけど話の本筋には邪魔だったかな…
金が第一の出資者で密造業者となったジョーとイワンの対立、彼の客でもあるジョージ・ウィントンとフローレンスの縁
この2つを絡めたという事なのかもしれないけど蛇足感が否めない

ただ前述の通り後半は王道ながら魅力的
自らの愛した作品を復活させるべく人を殺めては蝋人形にしてきたイワンが最後には射殺され自ら煮えたぎる蝋の中へ落ちてしまうというのは結末として綺麗で且つおぞましい
欲を言えば蝋人形と化した彼の姿が描かれていたら尚良かったかなぁとは感じたものの時代的にちゃちにしかそれは実現出来なかったのかな…
仮面が割られる様はなかなか良かったけど
‘53年版ではそれが見られたら嬉しい
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