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陽はまた昇るのABBAッキオのレビュー・感想・評価

陽はまた昇る(2002年製作の映画)
3.7
 2002年東映。Sonyが開発したベータ方式のビデオに対して、VHSを開発した日本ビクターの開発秘話を追った実録もの。企業、関係者が実名で出てくるのは珍しい。
 18年前の映画だが、俳優がずいぶん若い。冒頭、田山と渡辺謙の役柄が今の反対のような印象。ただ渡辺は後に主人公加賀谷事業部長(西田)の情熱に感化されて力強い補佐役になっていく役。概して俳優は演じすぎず、若い技術者でビクターと松下の間で重要な役割を演じる緒形直人、その恋人の篠原涼子もそれほど印象は強くない。仲代の松下幸之助はさすがの存在感だが。その一方で、麻丘めぐみの歌や、大量の機械部品が並ぶ工場など、演出・小道具は精緻。
 昭和の時代には確かにこうした熱気があった。VHSが世界を席巻し、メディアの世界を変えることになった。そういう意味で日本の技術力が頂点を極めつつある時代の記録。平成時代にこの物語はプロジェクトXや池井戸潤の作品でくり返し語られることになるが、1970年代のこの熱気のようなリアリティは失ってしまった。
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