eiganoTOKO

トランスアメリカのeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

トランスアメリカ(2005年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

トランスジェンダーだけじゃなくて、全てのセクシャルマイノリティーが「精神疾患」つまり、病気。治療すれば治ると思われていた時代。
というか、今でもそう思われてる。
精神的な問題じゃないから!あのクソヤブ医者に精一杯イヤミを言うブリーが切ない。

LGBTの中でもトランスジェンダーは認知度が低く、セクマイの中でも差別があると聞いた。MtF(男性から女性の身体)に変わった後、同性を好きになるか、異性を好きになるか、両性かがわからないので「変」だと思う人もいるそうだ。
ヘテロ(異性愛者)からの差別は当然ある。トランプ政権に変わった影響もあり、アメリカでは職を失った人、殺された人も増えている。

主人公のブリーは「ふつう」さを求める保守的な「女性」の物語だから、自分が目指す女性像でないのだけど、男としては生きられない人からすると、結構リアルな気がする。
つまり、まず世間に溶け込んで一般の女性になりたい、という必死さ。
女になりたい願望なんてもんじゃなくて、男の体は自分じゃない!ちんこ邪魔だし見たくもない!と生まれた時から思ってた人。それなのに子どもが出来てたって知ったら、ピギャーパニック!も納得。
父ちゃんとして生きてはいけないのに、母ちゃんだよ、とも言い出せない。

トビーかわいい…
困った子だけど、ふつうに甘えっ子だし。
だがしかし!
「ニセモノ女」のことを「いい人達だよ」と言ってたのに、ブリーのチンコ見て、バケモノ扱いした上にじゃんじゃんアウティング。
コラー!!!!
こうゆう反応、リアルにあるんだろうな。他人事なら偏見はないと思ってた人が、身近な人だと拒絶しちゃうみたいな…かなしい。
アウティングは肯定的な意味でも駄目だから、確認しないとね。

トビーがブリーを好きになったとたん「ごめん じつは父ちゃんなんだ」って言われたらそりゃ怒るよ。嘘つかれてたんだもん。
でもでもブリーの人生考えると、嘘をつく理由もわかるから、わーん!
ヤブ医者含めた世間が悪いぞ!

最後、トビーがポルノ男優になってブリーに報告するシーンめっちゃ良かったなー。
ブリーは保守的な人だけど、息子が職についたことに対して何もケチつけないの。
職業差別しないって超大事なこと。

フェリシティ・ハフマンの演技にケチつけるわけじゃないんだけど、ブリー役はトランス(MtF)にやらせるわけにはいかなかったのかな。数値からすると絶対いるんだから。せめて男性の方がいいのでは…
という違和感はあります。
アメリカ人が日本人役やってたら、エッってなるっしょ。(ユキヨシとか)
とは言え、カミングアウトを恐れて引き受ける人がいなかったのかもしれないけど。
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