アメリカのGM社は、会社の利益のためにミシガン州のフリントにある大規模工場を閉鎖し、大規模なリストラを敢行する。
マイケル・ムーアは、リストラに苦悩する市民や町の様子を、GM会長に直接見にくるよう要請するが全無視を食らう。
そこで、
GMの大規模リストラに関わるあらゆる人物にインタビューを行うことに。
家賃を払えなくなり強制立ち退きを迫られる市民を立ち退かせるのは、元GM工場勤務の男の存在。
GMによるリストラ対策事業に関わる著名人は、市民の心に響きづらい応援メッセージ。
そんなつらい状況の中でも、自分の生きる道をたくましく見つけた者たち。
町の起死回生を図る市長が立たされている苦境。
企業は利益を追求するものだから仕方ないという、GM広報担当者の開き直り。
そしてついに、
マイケルムーアが、GMの株主総会で、会長に直談判する機会を得るお話。
▼マイケルムーアは、取材スタンスは中立的ではあるんだけど、あきらかに市民の共感を得ようとしている意図がモロにでている
▽市民のフォロワーを集めることが作品の目的になっている
▽マイケルムーアは、市民代表のオーラをまとって、フリントのヒーロー的な立ち位置
▽そこに感情移入できるかが観客の好みが分かれる最大のポイント
▽そんなマイケルムーアをうざがってインタビューを拒否する、工場勤務の市民の姿もちゃんと写しているのは、自虐的でおもしろい。
▽自分が嫌われているシーンだから、カットしてもいいところだけど、あえて使うことで、リアルな雰囲気が作品に宿ってる。
▽すごい謙虚というか、ばか正直に作っているなぁと感じる。
▼マイケルムーアは音楽の力を最大限に利用している
▽廃墟化している街の惨状を映しながら、ビーチボーイズの「素敵じゃないか」をあてて、全然素敵じゃない感を演出
▼クリスマスの美しさを会長が語っているさなか、市民は悔しさをにじませて引っ越しをしているという対比の見せ方
▽強力な権力に対して、ドキュメンタリーというメディアの力を利用して戦いを挑むという構造が、一体どう決着がつくかというエンタメ性を帯びていておもしろい
▼さんざん市民にとって憎まれ口を叩いていたGM広報担当の運命が、今作品の最大のどんでん返し