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アバウト・シュミットのuedashinjiのレビュー・感想・評価

アバウト・シュミット(2002年製作の映画)
2.0
1961年生まれのアレクサンダー・ペインには、苦笑いしながら「現代っ子だねえ」という感想しか持てない。60年前後に生まれた日本で言うオタク第一世代が、もう、このまま大人になりそうにないとうのは、世界的に確定したことなのか。原作小説(作者は1933年生まれ)からは、設定のごく一部以外、一場面も使われていないのだそうで、はは、ひどいな、オフィス再訪も、奥さんの浮気も、初対面の人妻にキスしようとして拒絶されるのも、キャシーベイツが裸になるのも、主人公が人生見なおす旅に出てなんにも得られないのも、全部、映画オリジナルか。ペインがキャラクターをみじめにさせて「これが人生だー」とか思ってるのだとしたら(たぶん、鼻ひくひくの自慢顔で思ってる、「サイドウェイ」もそうだから)なめてるんでしょう、お話とか人間とかいろんなものを。

唯一、キャンピングカーの屋根の上で、亡き妻に「おれは君を失望させたか」と語りかける場面だけはジャックニコルソンの素晴らしい見せ場と思っていたけれど、シーンの終わりが記憶と違っていた。思い入れたっぷりに夜空に話しかけていた主人公は、つと横切る流れ星を見てギョッ!!として凍りつく……のだと思っていたのだけれど、じつは、彼はその奇跡めいたできごとを十字を切って静かに受け入れていて、ああ、それじゃあ、台無しなのよ。
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