つるつるの壺

食人族のつるつるの壺のネタバレレビュー・内容・結末

食人族(1981年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

食人族にクローズアップした作品だと思っていたが、その内実は彼らと現代人を対比させながら、どちらが野蛮人なのかと問う教訓的な話であった。
前半は行方不明になった撮影隊の捜索の為にモンロー教授がアマゾンに潜入し、そこで部族の文化に触れるモンドパート、後半は撮影隊が残したフッテージフィルムの編集を通して、現代人の野蛮性を浮き彫りにしていく。作中の人物たちがフッテージを観るという姿はこの映画を観ている観客とリンクする。
現代人が金と名声の為にジャングルの奥地で暮らす食人族の皆様の生活にズケズケと入り込み、自分たちが撮りたい映像の為に暴挙に明け暮れる様子は今だと炎上系ユーチューバーのようなものだろうか。そのような被害に見舞われた食人族の方々はモンロー教授を受け入れてくれるのだから、なんと心が広いのだろうと思う。
木々のショットからパンするとニューヨークのビル群が映し出されるのは、アマゾンのジャングルと都会のコンクリートジャングルが根本的には同義なのではないかという示唆がある。ラストでモンロー教授が「どちらが野蛮人なのか」と呟き聳え立つビル群を映して映画は終わるが、あのビル群は人間の命を食いながら成長を続けていく資本主義のメタファーと捉えた。