ハレルヤ

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
天使として地上の人間の世界を見守るカシエル。ベルリンの壁崩壊後のドイツで、様々な人間模様を観察している内に、1人の少女の命を救った事で人間になる。善と悪、幸せや不幸などを噛み締めながら人間世界を生きるカシエルの姿を描いた物語。

「ベルリン・天使の詩」の続編。前作もかなりの良作でしたが、本作も負けないくらいの完成度。人間世界で生きる決意をしたダミエルを見送った同じ天使のカシエルが今回の主人公。

天使目線だとモノクロ。人間世界へ降り立つとカラーになる演出は今回も引き継がれています。東西ドイツ崩壊後でまだ少し混乱が残るベルリン。自由な気持ちの人もいれば複雑な胸中を抱える人もいる。当時の社会情勢を捉えているのは、この時でしか出来ない本作の特徴。

人間になったカシエルとダミエルの再会のシーンは前作を見ているとグッとくるものがあります。あれ以降幸せな家庭を築いているダミエル。その一方で何やっても裏目に出て苦戦するカシエル。

やがて武器密売に巻き込まれてそれを阻止することに。クライマックスの空中ブランコで悪人の武器を盗み取るシーンはまさに名場面。ウィレム・デフォーにナスターシャ・キンスキーもしっかりとした存在感を示していました。

2時間半という長尺ながら前作とは少し味付けを変えているので飽きはありません。やはりヴィム・ヴェンダース監督の手腕が効いた仕上がりになっています。
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