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ストーカーのmimozaのレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
4.3
久しぶりのタルコフスキー。やはり描かれる世界が好きだ。
「ゾーン」といわれる、理由は定かではないが(過去に隕石が落ちてきたなど)今は立入禁止区域になっている危険地帯が物語の舞台。そこには人々の望みがかなうという「部屋」がある。その部屋に行くのを案内するのが「ストーカー」だ。
ある日、2人の男がゾーンに行きたいとストーカーのもとにやってくる。一人は科学者で一人は作家。3人で部屋を目指し、危険な場面をくぐり抜けながら、ようやく部屋の前まで到達する。
そこに辿り着くまでも様々な葛藤が個々に生じ、3人の緊迫した関係も描かれるが、それぞれの思いが率直に、本音が吐露されぶつかり合う場面が印象的だ。
ストーカーは人の喜ぶことがしたいと思い、そこに自身の幸せを見出している。そのためにもストーカーにとってゾーンはなくてはならない場所だ。
一方で、作家と科学者は最初はそこに行けば何かを得られるだろうという期待を持っていたが、部屋を目前にして、そこで得られるものは本当の希望でも幸せでもないということに気付く。信じる者は救われると純粋に思っているストーカーとは対する関係になり、2人はストーカーを偽善者だと罵る。
利他と思っていることが、利己的だったり、利己的なようなものが他のために何かを生み出していることもある。
最後の場面で足の悪いストーカーの娘が、机の上のコップを触らずに動かす様子が描かれる。
ゾーンでの超現象やどこからか聞こえる声はこの娘と関係があるのか。
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