このレビューはネタバレを含みます
再度、観直したが監督たけしが楽しんで作っているのよくわかる。過去の時代劇の面白要素をみんな盛り込んでいる。病気持ちの妻を抱えた素浪人、士官の道も途絶え薬代の為には悪の手先の用心棒になるしかない剣客男。親、手代も皆殺しされ大店を乗っ取られた仇討ちを誓う三味線芸者に身を隠した姉弟。みかじめ料に苦しめられる町民。そんな輩が蠢く場所に足を踏み入れた金髪座頭市たけしが、ばっさばっさと悪を成敗する痛快時代劇。冒頭の野原で始まり鉄火場、敵の大店と血飛沫、斬られた腕や手首の舞うふんだんな殺陣シーン、クライマックスは黒澤『用心棒』三船VS仲代のような瞬殺居合い決着。『用心棒』といえばあのくちなわの親分が潜んでいた飲み屋も雰囲気似てるね。硬派に染まり過ぎず芸人魂でお笑いの合いの手に入れて遊ぶ。座頭に目を書いてみたり、タカの新吉に白粉女装させたり…。一番笑えたのは岸部一徳悪役銀蔵の戯れ顔一発芸、アレはアドリブなのかな? 浅草ボードビリアン魂が出だしの田圃で鍬振る音にリズム付け、大工の槌打つ音にもリズム付けた終着駅がグランドフィナーレの出演者全員参加の村祭り?タップダンス。コレも『七人の侍』のラスト、農民の田植え歌踊りを連想させる。てっきりたけし座頭市も参加してタップ踏んだような記憶あったけどこれは私の記憶違いでした。そして今回一番心に染みたのは清太郎子供時代の早乙女太一の舞い、あのたおやかさ、艶やかさは衝撃でした。