垂直落下式サミング

悪夢の惨劇の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

悪夢の惨劇(1987年製作の映画)
3.5
カルト教団による集団焼身自殺の現場から生き残った少女が、病院のベッドの上で昏睡状態から久しぶりに目覚めたことで、事件の証人として取り調べを受けながら精神科医によるグループ治療を受けることになる。そんな中、他の入院患者が次々と死んでゆく事件が起こって、少女が恐ろしい恐怖を味わうことになる、オカルト・サスペンス・ホラー。
エルム街ではパンク女子をやっていた美人モデルのジェニファー・ルービンが、弱々しい女の子の役を演じている。彼女が打ち解けようとしたやつから死んでいくので、なかなか痛々しい。
スラッシャー映画としても、バラバラ遺体のミンチシャワーや、ナイフやメスなど刃物による肉体欠損きなど、生々しいスプラッター描写が盛り込まれているのが嬉しい逸品。
実際には、精神病棟内で巻き起こる謎の殺人事件の犯人の正体に迫るサスペンス系の内容。すべては少女の妄想で真犯人が存在するのか、本当に過去の亡霊が超常的な作用をおこしているのか、最後まで掴ませないお話し運びと雰囲気の出し方は上手かったと思う。
中盤まではオカルトチックな内容だったのが、真実に納得する一歩手前、力のこもったハンドルさばきでドリフトするかのごとく事態が急変。事件の黒幕の正体が明らかになってゆく衝撃を、スリリングに盛り上げている。難点としては、サスペンスとしては行き当たりばったりで、犯人の正体が分かるのも凄い偶然頼みだし、ガチホラー的な要素もそこまで多くないこと。
少女が過去に打ち勝つ物語ではあるが、何年も寝てた人が、意識戻ってすぐに10歳以上も年齢の離れてそうなオッサンとごく自然に恋愛に発展する感じなのは、眠れる森の美女ってことなのかな。キッショいね。