へちまびと

タクシードライバーのへちまびとのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.1
「愚か者」を見事に描き切った名作。
あのロバートデニーロをここまでカッコ悪く使うんか!という感じ。

一応、ベトナム帰還兵の……という映画ではあるが、しかし実際見てみると「帰還兵だから」という要素は希薄だ。

そのため「独り者の粗野な男」という、どの時代のどこにでもいるパーソナリティが強調されており、かえって普遍性を帯びている。

一言で言って、主人公は頭が悪い。
そのことに自覚がなく、たとえば相手の心理を想像することは全くできない。
だいたいの問題は主人公自身が原因なのだが、それも理解できない。
「サイコ野郎」という表現がピッタリの、粒度の荒い、自分に都合の良い思考しかできない男。ラストの意味がわかるとゾッとする。

これがゴッドファーザーのビト・コルリオーネも演じたロバートデニーロなんだからすごい。

後の映画「ジョーカー」がこの作品を明確にオマージュしているが、そこにロバートデニーロを真逆の役で出すという洒落っぷりはなんなんだ。