いし

タクシードライバーのいしのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

夢オチ・妄想オチかと思わせるラストの畳み掛けだったが、どこからどこまでが妄想なのか、、、
議員は襲撃できずにギャングをやったところを見るに、走馬灯で英雄になった説を推したいが、全部妄想でついには妄想と現実の区別がつかなくなったのかなあと。

ラストを読み手に委ねる作品はあまり好きではなかったが、案外悪くないのかもしれないと思えるようになった作品。

現代のイタイ狂人に似ていて、その狂人の演技がとてもリアル。

人生経験が薄いのに(薄いからこそ)全能感を持ち、小さな失敗から社会全体を恨み、大きな事件を引き起こす。さらには妙な正義感を持ち合わせているのでタチが悪い。厨二病を持った子供な大人。

喋る人たち全員を頭の中で殺して悦に浸ってそう。悟りを開いたあと、妙に爽やかな顔つきになるところなんてまさにという感じだった。

トラヴィスのデートの誘い方はスマートだったのに、その後のデートや政治の話、音楽、映画で育ちや環境の違いが露呈する様がリアルで、最初は興味深く思っていたエヴィも、「ただ住む世界が違っただけだ」と気づいたのだろうと思うと胸が痛かった。

思えば最初からストーカー気質があり、花の世話やタバコの始末、誤字や字の汚さ等でトラヴィスの育ちが描写されているのだなと。

自分の立ち位置や実力を理解しないまま、何でもできる、やりたい、やらなければならないと勘違いをして自分の中で完結するなら勝手だが、それを外に広げた瞬間に迷惑になる良い例だった。


あと音楽がとても良かった。
モヒカンはそこで登場するんかい。
いし

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