Nanami

タクシードライバーのNanamiのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ベトナムでの戦場体験からくる不眠症を抱えるトラヴィスは、常に充血したような目をしていて、様々なシーンでその目が光り、印象に強く残る。ロバート・デ・ニーロの演技があまりにも素晴らしい。

ベトナムの帰還兵がどれだけ社会復帰に苦労したかはランボーなどを観て知ってはいたけど、より現実的に感じる設定でウッ…となる。
かつては英雄でも、国に戻ればPTSDを抱えたまま働き口も限られて低賃金労働をするしかない。戦争を起こす側の政治家はのうのうと贅沢をしてのさばっている。
トラヴィスが社会に対して怒りを募らせる理由は非常に理解できるし同情もする。しかし彼自身の行動にも問題はあって、意中の女性に対してのアプローチが下手すぎたり、自分の行いを顧みれないところもあり、もう少し上手く立ち回れたら…と思いモヤモヤするのである。

だんだんとリミッターが外れて暴れてしまうのだけど、意図せず英雄的な扱いを受けるのに更にモヤモヤ。
大統領候補の暗殺には失敗、10代の娼婦を救い出すという名目で売春斡旋業者を銃殺した後自分も死のうとするが、弾切れにより失敗する。なんともダサいのだが、世間からは少女を救った英雄と賞賛を受け、少女の親からは感謝の手紙が送られる。
未来あるラストがニューシネマ時代の終わりを感じさせる。これはこれでいい。
なんかもう雰囲気やら何やら全部がかっこいいから。
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