スパイス

タクシードライバーのスパイスのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
5.0
狂気に溢れた醜い愛と復讐。

ヒトは復讐心を燃やしながらもそれを制御することで成長する。
主人公はそれを制御することができず大統領候補を暗殺しようとする。
結果としては失敗に終わるが、それは復讐のための非常に醜い行動だった。

それだけではなく次には売春組織の組員を殺した。
それは立派な犯罪であった。
彼は銃の密売もしていた。
それにも関わらず新聞は彼を「英雄」として讃えた。

狂気の人を「英雄」として讃えることに恐ろしさを感じた。
それはその時代の"社会"の狂気と醜さを写しているのだと思う。

またもうひとつ思ったのは、主人公の行動一つ一つに共感できたということ。
恋愛に失敗して怒るのも、銃を持っている自分に溺れるのも、身近な感情として受け取れる。
それは狂気は誰の中にも眠っているモノというメッセージになっているのだと思う。