イトウモ

新しい人生のイトウモのレビュー・感想・評価

新しい人生(1966年製作の映画)
2.5
戦争から帰ってきた男が、兄と結婚した元婚約者の家に厄介になりながら、海辺のいつ波に攫われてもおかしくないような貧しい地区で新たな人生を歩み出す。

戦地で負った傷でまともに働けない男が、船から担ぎ出される。このアデリーノという男がここではキリスト扱いなのだなと思う。いかにも貧しい暮らしをドキュメンタリーっぽく撮りましたというリアリズム路線はむしろプロットを頭でっかちに停滞させる。リアリズムの頭でっかちな野暮ったさは今村昌平っぽいかも。

イザベル・ルトが出てきてからがいくつか面白いシークエンスがある。賽銭を盗むところの駆けっことか、井戸の立ち回りとか。PTAの「ザ・マスター」の予告編にしか登場しないシークエンスに似たようなものがある。

チラシにあったペドロ・コスタのローシャがいかにポルトガルの土地を撮るかを後続の世代に教えたと言っていて、それをヒントに見た。まだ掴めていないが、ローシャの撮る土地は、踏むことが困難な不安定な土地らしい。