イトウモさんの映画レビュー・感想・評価

イトウモ

イトウモ

映画(776)
ドラマ(2)

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

4.9

一つの土地、いくつかの場所、数人の俳優を共有しながら3つの話が交錯するお芝居のお遊び。役者や場所はアナグラムのように交錯し、劇と劇中劇の二階建てに劇中劇内のループ構造を入れ込んだように展開する。それが>>続きを読む

3人のアンヌ(2012年製作の映画)

3.6

一つの土地、いくつかの場所、数人の俳優を共有しながら3つの話が交錯するお芝居のお遊び。役者や場所はアナグラムのように交錯し、劇と劇中劇の二階建てに劇中劇内のループ構造を入れ込んだように展開する。それが>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.7

一コマの情報量がすごい。細密さ、動の量、表情の量。画の情報量と編集の潔さが短い上映時間で20年近い時間を描くことを可能にしている。
現実の歴史を夢のイメージと死のイメージがサンドイッチする。終始繰り返
>>続きを読む

スーパー!(2010年製作の映画)

3.1

ドラッグ、宗教、漫画、性倒錯、ホラー。エクスプロイテーションムービーの系譜から、それこそ搾取される意志の弱い人たちのすがりつくような醜態が情けない。それでも嘘から出た誠のようなラストが愁眉。争いを逃れ>>続きを読む

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)

4.0

ディズニーアニメの定型に守られつつも、30年誰からも感謝されずに働き続けた中年労働者と、いじめを受ける畸形のメンヘラ少女が、悪趣味きわまりないキッチュな外見とベトベトの油まみれのお菓子のサーキットで心>>続きを読む

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

1.6

少ない台詞と音楽で近現代史を描いた大河ドラマとかを目指したかもしれんが、細部を欠いて、有名曲と耳に心地いいメロディだけで、表面的なメロドラマだけ作られても観光用のCMくらいにしか見えん。内容が、ない>>続きを読む

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

4.6

螺旋運動、デカドラージュ、間接照明、早送り、野外ロケーション……、ストーリーや統一感がないのではなく、できるかぎりでたらめに、でたらめにと予定調和を強い意志をもって逃れていく、そのエネルギーがすごい。>>続きを読む

ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)

4.5

夫について田舎に住むことになった女と村社会、自然との対立。それ自体月並みで退屈だが田舎の最北として立ち上がる火山と漁業はグロテスクなまでに圧倒的。対立項が結局和解できず破綻して終わるのにはむしろ現実へ>>続きを読む

アワーミュージック(2004年製作の映画)

5.0

ゴダールがどのように歴史を描写するか。記憶:主観的な過去 に対しての記録:客観的な過去 としての歴史があるとして。興味深いのはゴダールはそれを主観的にコラージュするということ。客観的な事実に、非常に恣>>続きを読む

地獄の逃避行(1973年製作の映画)

4.0

Tマリックのデビュー作。既に光の扱いがかなり繊細、自然のリアリズムが際立つ割に、殺人鬼カップルの社会的リアリズムはかなり希薄。アメリカンニューシネマがごっこ遊びとして演じられ、暴力を包む淡い油膜のよう>>続きを読む

パシフィック・リム(2013年製作の映画)

2.0

日本製の大量生産大量消費アニメレベルのリアリティを実写でやっちゃった設定・構成の荒さに胸焼けがする。一方で「イェーガー」神経・感情・細部の皮膚感覚というグロテスクさをロボットに持ち込んだアイディアがが>>続きを読む

彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年製作の映画)

4.5

都市があって、住宅地があって主婦が住んでいる。開発が、消費が、漠然とした憂鬱が全部生活の中にあるという題材が今見ても古びていないのが頼もしい。ゴダールの感覚に直接訴える表現手段自体がある程度もはや普遍>>続きを読む

リアリティー(2012年製作の映画)

3.0

リアリティー番組のオーディション、合否に左右される小市民の寓話。切り返しの代わりに手持ちカメラの長回しで主/客をつなぐショットが誇大妄想と現実の間で不安を抱えて右往左往する気味の悪い間を作る。不安・監>>続きを読む

ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー(2009年製作の映画)

4.0

リヴィット。小さな映画だが細やかな遊び心に溢れ、見る所は多い。背景から音と運動物が押し寄せてきて、その前景にたたずむ役者の間を非常にゆったりとした時間が流れる。つまり、ひとつひとつの台詞の間が長く、言>>続きを読む

新ドイツ零年(1991年製作の映画)

4.9

ゴダールはこの映画のインタビューで国家を一人の女性に喩えていたけど、確かにこれはドイツという国家=一人の女、を巡る失恋ドラマのようで、自宅から元彼との思い出=歴史を一掃して夜の街のような暗闇を彷徨い、>>続きを読む

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

4.8

規則と規則違反の映画。全寮制寄宿舎、大人が厳しく縛れば縛るほど、はっきりと子供はルールを破る=悪事。悪事というのは密事であるという趣味にも富んで緊張感のある静けさは意外と多く、アクションでコメディでサ>>続きを読む

死刑台のエレベーター(1957年製作の映画)

4.4

他人の名前を偽名にしてしまうしかけ、サスペンスとしては退屈だが心理描写には大変効果的で、エレベーターに閉じ込められる男と盗まれて走り出す彼の車の対比が一人の男の体が分離する霊的な気分を醸す。有名なM.>>続きを読む

スローターハウス5(1972年製作の映画)

4.0

思いのほか原作通りで驚く。難解な原作をあえて感覚的な演出に(ヨーロッパ的に)洗練させないぶっきらぼうな荒さ、散漫な筋さえ律儀に辿る説話の尊重というのが実にハリウッド的で、アメリカの小説をアメリカの映画>>続きを読む

モーゼとアロン(1975年製作の映画)

5.0

正直モーゼとかアロンとか言われても全然ピンと来ないが、厳密に構成された音と台詞、それが野外のロケーション、音楽と引き合って拮抗する。パンフォーカスが描写の輪郭を全て明確にする。必要なものが全て揃ってい>>続きを読む

今日から明日へ(1996年製作の映画)

4.5

夫婦喧嘩から仲直りまで一夜の物語なんていうミニマルでありふれた話がシェーンベルクの音楽でまったく感情移入できない。終始不穏で居心地の悪い不協和が息苦しいが、最終的には流行批判の主題に落ち着く。批判を通>>続きを読む

スリー☆ポイント(2011年製作の映画)

3.8

面白かった!前半の安っぽい物語とドキュメンタリーの並列は変な異化効果で、後半は古典的な骨法を押さえたサスペンスで撮り方も編集も所々恰好いい。でも統一的な主題のない散漫さが旨味なんだろうが、そういうのは>>続きを読む

ざくろの色(1971年製作の映画)

-

絵画的。つまり映像と対比して、平面・静止画としての美しい。 そもそも映像を、被写体があらかじめ動いている(生きている、呼吸している)もので、それをとらえるところから始まるものと考えたとき、逆に平面で静>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

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今まで見たゴダールで一番面白いかも。個人主義・自由の行き過ぎを、週末休暇で、避暑地への山道に詰めかける自分勝手な車たちが次々と交通事故を起こす死屍累々の風刺漫画から始まり、いつしか生死や善悪を越えたな>>続きを読む

雲から抵抗へ(1979年製作の映画)

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S=Hの映画はほぼ常に撮影された演劇として表れるのだなということ、観客を想定した話し方をする役者の台詞内容によって話が進行する。パヴェーゼの「対話」形式の小説との親和性の高さ。予備知識は必要だが、ギリ>>続きを読む

サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

4.0

たとえば、実際に生身の人間と会って話しているときに、その人の顔を覗き込めば覗き込むほどその人が実際のところどういう顔をしているのかよく分からなくなるということがあり、映像ではそういうことはあまりなく、>>続きを読む

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

4.0

個々のショットは市井の人の拡大された日常、あけっぴろげな性、それをぶっきらぼうに繋いで編集でぽんぽんと時間が飛んで一代記を描くというのが今村さんの常の手法としてあって、白黒の画面、女の体に男の手や顔の>>続きを読む

修道女(1966年製作の映画)

4.6

物語の説明よりもとにかく演技!演技!とそれ以外はバッサリ切って進行。役者の緊張感だけを繋いで作る潔い、そして演る側にも見る側にも厳しい。クロースアップよりもバストショットが多いのは舞台演出っぽい。部屋>>続きを読む

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

5.0

当時の演奏、光景の再現、その時系列通りの配列。演奏と交互に、同時に流されるバッハに関する記録、読み上げられる記録。事務的にというよりも滅私的に行われる再現とその配列、配列の隙間から客だけが覗ける「本当>>続きを読む

和解せず/妥協せざる人々(1965年製作の映画)

4.5

既存のテキストを、言語での余計な説明は省いて、滅私的な、作為のない配列でまとめていく。省略の美学。カメラはここしかないという絶対の定点に固定したらよっぽど動かさない。それ以降洗練されていくスタイルのは>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.0

ブレッソンの手によるアーサー王伝説、円卓騎士の最晩年。聖杯探求の一大事業に失敗し、疲弊したまま内紛を抱えて腐敗していく組織。感情もスペクタクルも排した叙事詩というのが新鮮、無表情の人間のバストショット>>続きを読む

絞殺魔(1968年製作の映画)

4.8

無茶苦茶面白い。実在の事件という触れ込みと事実を追いかける描写の妥協内丁寧さが相まって重厚、60年代の豊潤さ、画面分割みたいな妙な演出手法も決まってずっと面白い。死体→捜査→動機と分析していくサスペン>>続きを読む

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

4.0

脚本家映画だなとか、キャラクターと展開で話が進む。実験映像っぽい、照明に重点のある色使い。いかにも80後半〜90年代の破滅したい・刹那的・詩的なノリ、若い、幼稚。幼稚な老人と素直な優等生女のアヴァンチ>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.5

反則的に美しい未亡人、ジュリエット・ビノシュ、その美しさを舐め回すだけの100分。それでもミューズありきの作品ではなくて、より可哀想だから可愛く、儚いから美しく、不幸だから意地悪く色っぽく見えるために>>続きを読む

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