イトウモさんの映画レビュー・感想・評価

イトウモ

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蛇の道(2024年製作の映画)

3.0

面白かったけれど、90年代黒沢清をがっつり見て備えていったらかなりがっかりしてしまった。

時代のせいなのか、制作環境なのか、作風が変わったのか。
柴咲コウの顔つきはとても黒沢清向きで素晴らしかった。
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ザ・デッド/「ダブリン市民」より(1987年製作の映画)

3.8

あまり楽しめなかった。面白くなかったというのではなく、ちょっと勿体無い見方をしてしまった。

というのも、長いこと見たいと思っていてなかなか見れなかった映画だったものだからジョイスの原作を2度読んで劇
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.2

とてもおもしろかったし、ベロッキオの一貫したテーマ性に感激した。

端的に言えば、
「ベビーシッターに勝手に洗礼されたせいでヴァチカンに攫われてカトリックにされたユダヤ人家族の子どもの話である」

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マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.0

冒頭の車の撮り方、海辺でのカット割からしてあまり凝った映画でないことはすぐにわかるのだけれど、それでも、好感を持った。

ファレリー兄弟というか、ジェニファー・ローレンスで現代版『メリーに首ったけ』が
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パリ13区(2021年製作の映画)

3.3

おもしろかった、というか軽い。
シアマが脚本に参加しているというのもあるだろうが、女性の話、移民の話、若い人の話、アメリカ人の漫画原作ということで、オーディアールが急激な若返りをしていることに驚く。
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ビッグ・トレイル(1930年製作の映画)

4.4

物量が多いと言うだけでめちゃくちゃ面白い。

アメリカ万歳の内容だったけれど。。。

最後の出会いの場面、木陰の陰影の濃さをいつまでも覚えている

異人たち(2023年製作の映画)

2.0

『ブエノスアイレス』がやりたかったのかな、という印象。

親たちが暮らしているのが浅草でないことの味気なさももちろんあったが、それ以上に場所の希薄さに問題がある。自宅からの電車の距離感、家の立地という
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荒野にて(2017年製作の映画)

3.7

馬との駆け落ち映画である。
まさか、人と馬の『夜に人々』とは思わなかった。どうしようもなく暗いが、ロケーションが魅力的で好感を持ってみた。
本来、こういう1シークエンス1ショットみたいな映画はあまり好
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

1.3

「オッペンハイマー」とは誰なのか。
一見複雑そうだが、シンプルにそういう演出・作劇に感じられた。
ハーバードの物理学徒だった青年が、政府の一大事業となった原爆の開発に従事し、ロスアラモスの荒野に建設さ
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.9

おもしろかった
『わたしたちの家』が『セリーヌとジュリー』だとすれば、今回は『北の橋』。SF的な実験的、トリッキーさは退いて、ニュータウンの街をうろうろする複数の経路を描く。

①徒歩、自転車、自動車
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ブロンド(2022年製作の映画)

1.0

唯一、堕胎シーンで手術室から走って逃げ出すところだけ良かった

ハイブランドの広告のようなテカテカした映像でひたすらセクハラを見せられることのなにが面白いのだろう

社会派としても芸術としても娯楽とし
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.0

シャルル・プリニエ『偽旅券』というのが、スターリン政権化のモスクワでの裁判を題材に据えた、革命活動に従事しながらそれに挫折していく女性たちの群像描く連作短編集(?)らしい。
ここで革命に挫折して戦争に
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.0

S・B・コーエンみたいなネタものを期待したが、むしろウディ・アレンやバームバックみたいな知的なユーモアと裕福なインテリの私生活ものでほっこりした。
監督が『マスター・オブ・ゼロ』などでキャリアを積んだ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

2.3

長いわりに説教くさくてお行儀のいい終わり方をするあたり、非常に退屈だった。

実質のところアンチ・ミステリーと言っていい映画だと思う。
もっと単純に法廷劇でいいのかもしれないけれど。
謎が解かれること
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.5

おもしろかった。

基本的には光(あと音と風)に一番興味のある作家だという印象を持った。

終電を逃したご婦人が、今にも閉店しそうな店、店を経由して家に帰る。
人工光であることよりも、光と闇のコントラ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

『チェンソーマン』に似てると思ったのは、

・母と息子の支配の物語である
・一見残虐なホラー演出が過剰さのせいでギャグになっている
・世界が主人公に過干渉であるせいで世界観が崩壊している

点で、
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オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

3.7

チャーリー・カウフマン目的で鑑賞。

概念をキャラクター化した途端、急に教育的なトーンになるCGアニメーションというのが非常にピート・ドクターっぽい。
キャラクター、設定、造形の既視感でそのままべたっ
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