クシーくん

ドラゴン危機一発のクシーくんのレビュー・感想・評価

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)
3.4
リーの主演作品の中ではこれが一番微妙かな…ゴールデン・ハーベストで契約した第一作目という事で、元々リーを主役にする前提ではなかったせいか、脚本も色々荒削りというかちぐはぐした部分も少なくない。

とはいえリーのアクションが素晴らしいのは相変わらずだ。最初は亡母との約束で非暴力を貫き観ている側としてもフラストレーションが溜まるが、特に他の仲間がチンピラ達にボコボコにされる中、とうとう我慢出来ずに飛び出してきたリーがキレッキレのアクションを見せるギャップは痺れる。理想的なカタルシスの消化である。ただ怪鳥音は後で追加したとのことで、少しがっかり。

舞台は何故かタイ。これ以外の主演作もローマや外国の孤島だったり国際舞台シリーズだったのかな。香港から叔父の紹介でやってきたチャウオンが地元の麻薬密売グループの陰謀に巻き込まれていく話。後の作品も割りとあっさり人が死んでいくのは変わらないのだが、後続の作品と比べてもとにかく陰惨で血みどろな作風である。仲間が次々と殺されていく展開もキツいものがあるが、特に兄貴分だったジェームス・ティエンが氷漬けの遺体で工場に隠されてるくだりがエグい。関係ないが、仲間の中に若いラム・チェンインが出ていたのには思わず見入ってしまった。
また、本作はリーが妙に情けないのも特徴的だ。敵の社長に懐柔されて美女をあてがわれ、酒を飲んでデレデレしてしまい、仲間から総スカンを食らう。こんなリーは余り見たくなかったというのが正直な所。

ラストは他の作品の中でもずば抜けて殺意高い名勝負。ここだけは何度も見返したくなる作品。ただ社長役の俳優は散々強い部分を予め見せられていても、やはり強そうに見えない。
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