垂直落下式サミング

ターミネーター2の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ターミネーター2(1991年製作の映画)
5.0
未来から送り込まれた液体金属型ターミネーターが、人類の運命を握る少年ジョン・コナーと母親のサラを抹殺する為に行動を開始。それに対抗すべく、未来のジョンの手によって送り込まれたシュワちゃん型ターミネーターが、ふたりの守護キャラとなる。
前作から7年のあいだを空けて製作された第2作目。今度はシュワちゃんが味方に。アクション映画ブームでのブレイクを切っ掛けに、世界的スターの仲間入りをしたシュワルツェネッガーの風貌が自信に満ちていて、こちらも嬉しい。画面に華やかさと安定感をもたらしている。
本来は敵側だけど人類に味方してくれるのは、日本人好きするヒーロー像。仲間になったターミネーターは、油の乗った若マッチョから、ガタイマックスイケオジに変貌し、グラサン革ジャンショットガンでハーレーを乗りこなすというアイコニックな格好よさを生み出した。
まず、いきなりスケールアップを感じさせるのは、未来の機械軍団との戦いの様子をみせるおぞましいビジョン。冒頭のほんの短い場面ながら、この先に待つ破滅をみせる。レジスタンスの兵士たちがターミネーターと銃撃戦を繰り広げ、転がったしゃれこうべを機械の足が踏み潰す。前作で提示された未来の戦場をハッキリと見せることで、事態の切迫を伝えてくる。
コンピューターグラフィックの技術もそれほど浸透していなかった頃だから、機械軍団の動きやレーザー光線などの光はミニチュアと特撮で表現しているんだろうが、年月が経過しても色褪せない衝撃的な世界観。この先がみたい!
新しい敵の液体金属型T-1000を中心に語られがちな作品だけれど、僕にとっては、なによりも美少年のジョン・コナーを演じるエドワード・ファーロング!マジでかっこいい。歴史的なイケメンだ。かわいい顔した男の子と、無愛想ないかつい革ジャンおやじが並ぶ姿は、とてもフォトジェニック。
続編は、ジョン・コナーについて饒舌に語り過ぎるのがよくないんだと思う。具体的に反乱軍を指揮する姿とかみちゃうと、ちょっと…。結局、戦争ってひとりでするもんじゃないから、どんなにカリスマ指導者であっても、ある程度は代替えが効いてしまうだろうし。
こういう現実的な部分を意識させないよう、時間軸上におけるジョン・コナーの重要さは、冒頭のイメージでとどめておいて、個人的な活躍を具体的にみせないってところが、ストーリーの組み方として抜群に上手かったんだなあ。
少年の時点では、格闘能力とか、指揮能力とか、特殊な技能はなにも持ち合わせないんだけれど、彼の価値はフワッとしてるのびしろのなかにあるからこそ、この男の子が未来でどうにか化けるから、なんとしても守れーっ!というアクションスリラーが成立して、ここにみんな感情をのせれていたんだと思う。
戦いのあと、シュワちゃんが親指をたてながら沈んでいくところは、機械なのに父性と侠気に目覚めたことを示す。絵面としての呆気なさに反し、心を大きく揺さぶる。顔が沈みきったところで指が動くから、もしかしたらシステムの誤作動かもしんないって、そんな残酷な余白も込みで名シーン!