シャチ状球体

地中海殺人事件のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

地中海殺人事件(1982年製作の映画)
3.8
アガサ・クリスティー原作の映画が観たくなったので視聴。

タイトルの割に(?)壮大かつ爽快なオープニングタイトル、死体役の俳優が全然死体になれていない変なところでほ稚拙さ、殺人事件が起きているのに舞台が舞台なので閉塞感がないどころか開放感すらある脱テンプレ的な設定や構成が魅力。

コメディ調のシーンでもしっかりと伏線っぽい要素が用意されてて、説明提起にならずにストーリーを進めているので自然に世界観へ入り込めるのも良い。

序盤のディナーの際におじさん(ポアロ)が食べてる、パフェの入ったグラスの下に山盛りゼリーで埋め尽くされた器が組み合わさってる超デカスイーツ、こんなにおいしそうな食べ物が出てくる映画はそうそうないよ。
他にもソーセージや地中海デザート、トロピカルな飲み物が沢山出てきます。これって何の映画だっけ?
君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。

ポアロ、雰囲気はひょうきんな面もある好々爺なのに、「女性には思慮が必要なのですよ」みたいなことを普通に言うから無理すぎ。ケネスの三角関係はまだ笑えるけど、これはいくら時代性を鑑みても許容範囲外。

推理パートはポアロが関係者一人一人のアリバイと不審な点を回想シーンと共に聞き込み&複数の説を提示していき、ミステリーの面白さが詰まっている。
トリックも巧妙過ぎてアガサ・クリスティーのファンになること間違いなし。これでミソジニックな台詞がなければ休日のお供に最適(原作にもあるのなら、ポアロの推理以外は軽率な人間性を描くという意味でまだ理解できるかも)だけど、2024年に素直に楽しむのは厳しいかな……。

批評家レビューのスコアが低めなのも分かるんだけど……このノリの軽さが推理ミステリーのハードルを低くしていていいと思った……。
シャチ状球体

シャチ状球体