アキ・カウリスマキは小津マニアとしても有名らしいですね。小津安二郎の映画に精通していない私から見ても明らかに影響を受けている。というかカウリスマキさんは小津になりたいと本気で思ってるんじゃないかってくらいの偏愛ぶりではなかったでしょうか?
例えば主人公がバーのカウンターでアルコールを飲む場面とか。主人公を映すシーンの背景は赤一色の壁面だったりします。単色の壁面が背景になり、遠近感を狂わせて、面白い絵になっています。これって小津の映画でよく見かける効果ではなかったかと。秋刀魚の味とかにこういうのなかったっけか。
小津独特の小津っぽいカット割りもそれなりに再現されてた気がしましたし。
と。まあ訳わからん伝わりにくい話はこれくらいにしてですね。
実はまったく別のことで書きたいことがあるんですわ。
というのもですね、この映画のストーリー、同じ監督の「コントラクト・キラー」とそっくりなんですわ。
ちなみに「コントラクト・キラー」のあらすじは、こんな感じです。
リストラで職を失った主人公(ジャン・ピエール・レオー)は、自殺を試みるも、失敗し続ける。そこで自分で殺し屋を雇い、自分を殺させようとする。殺し屋がやってくるはずの夜、ふと生まれてこの方飲んだことのなかったアルコールを飲んでみたくなり、パブに出かける。そこで運命の女性と出会い、死ぬ気がなくなる。そして自分の雇った殺し屋から必死で逃げるハメになり…。
両作に共通しているのは、おとなの恋愛ドラマであること。ハッピーエンドであること。まったく呑まなかった主人公がアルコールを口にすること。主人公が作品の冒頭で何かしらを失うことかな。
過去をなくした男は、取り戻す過程で上昇志向を持ちますが、レオーの方は、おかしな低空飛行を続けます。そういう違いはあるけれど話の要素?素材?はよく似ていて、まるで双子みたいな映画でした。アキ•カウリスマキの映画の中ではこの2本が好きなんですよねー。
てなわけで。このレビューは、ずっと昔に書いていた鑑賞メモを流用させて頂きました。元の文章は文体が微妙に今と違ってたので気持ち悪かったんで、今の自分風に直しました。でも直しきれない部分もあって気持ち悪いままだー。