【第55回カンヌ映画祭 グランプリ、女優賞】
『枯れ葉』アキ・カウリスマキ監督の代表作。カンヌ映画祭コンペに出品され、グランプリと女優賞をW受賞した。アカデミー外国語映画賞フィンランド代表として出品され、ノミネートを果たした。
個人的には『浮き雲』の方が好きだが、本作もカウリスマキ節全開で楽しい。敗者三部作の二作目ということで記憶をなくした男を主人公にしている。
街の片隅で花開いたささやかな恋を独特のオフビートなユーモアで描き出している。これほど「幸せになって欲しい」と願った作品もない。なんてことはない恋物語だが、カウリスマキの暖かな視線が貫かれた傑作。
画面構成の妙が冴え渡る。一つ一つの画面がまるで絵画をみているよう。派手なことは何も起こらないのに何故こんなに豊かで引きつけられるのだろう。
まさにカウリスマキのマジック。過去も何もかも呑み込んで前向きに生きる意欲が湧いてくるような作品だ。