歪な純愛映画。
マチルダが、愛すべきレオンに出会えたのは愛していた弟を失ったからだという皮肉。
失うものがなくなった人生で得た幸福というのはこの上なく輝かしく見える。それなのに自身との出会いがレオンの命を奪うことになる儚さ。
だが自身の死をもって人生に大切な意味を持つことが叶ったレオンにとって、最も苦痛なのは死ぬことではなくマチルダと共に生きられないことだろう。
それを知らないマチルダが今後どのように生きていくのか検討もつかない。
アクションシーンに埋もらない情感溢れるシーンが多く、活発なマチルダより無口なレオンからのほうが人間的な一面を感じられる。
二人の関係には並々ならぬ情熱があり、一般の恋愛映画には呼び起こせない感情がある。