このレビューはネタバレを含みます
数々の映画で、数々の愛が描かれてきた。だが、今作を観終えた後、ここまで純粋な愛が今までに在ったかと問われれば、皆頷くのを躊躇うだろう。
とはいえ、二人の間に愛が生まれる背景と経緯はあまりに残酷。「悲劇のヒーロー/ヒロイン」なんて言葉ではとても形容できない。
この殺伐に僅かながらの安寧がもたらされた時、愛が芽生えた。
殺す側と殺される側、という一義的な立場に居た時には持てていなかった「人間的」な表情。共に「日常」を過ごす中でそれが徐々に育まれた。結果的に、純粋で、無邪気で、かつ重厚な愛が二人の間に芽生えたというわけだ。
根差す場所を失い彷徨っていた「植木」と、
支える対象を失いボロボロだった「鉢」。
彼らの出逢い、そして、似つかわしいとは言えない不器用な一心同体の成長を見届けるのは心から楽しかった。
“Dead or Love“ではなく、
”Love by Dead“を遺した彼。
愛が成長してゆくその続きを、これほどまでに本気で望んだことは未だ無い。