サマータイムブルース

パッションのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

パッション(2004年製作の映画)
4.5
原作は新約聖書!?
ルカによる福音書22章45から24章まで、イエス・キリスト(ジム・カヴィーゼルさん)の十字架、磔刑に至るまでの12時間と、その後の復活までを描きます
「パッション」はキリストの受難、という意味です
メル・ギブソン監督のこだわりで、役者さんのセリフは全編アラム語とラテン語で、リアルを追求しています

大好きな作品で数回は見てます
初めて見たのは確かレンタルで、パッケージに“字幕スーパーはありませんと”但し書きがあるものでした

物語は新約聖書をリアルに再現しています
イエスは自身の宗教活動で人々が集まり頭角を現す
それを疎ましく思うユダヤ教の権力者がイエスをハメ、弟子のユダの裏切りによって、裁判で有罪になる
拷問され、磔にされ死ぬ
3日後に復活して生き返る
てな流れです

私自身キリスト教というわけではないけど、興味はあります
もう少し詳しければ、一つ一つの描写にきっと意味があって、細かく理解できるのだろうなとは思いました
例えばキリストの足に口付けするマグダラのマリア(モニカ・ベルッチさん)とか

ユダヤ人によってローマ提督の元にキリストは連れて行かれます
彼はキリストが何の罪もないと確認し、彼を釈放しようとしますが、ユダヤ人はそれでは治らず、苦悩します
ローマ提督は、収監されて罪人バラバと、キリストどちらを釈放するか群衆に尋ねます
すると群衆は、バラバと答えます

また、十字架を背負い、ゴルゴタの丘へと進むキリストを憐れみ、額の汗を拭くよう自身の身につけていたヴェールを差し出す女性は聖ヴェロニカ

途中で力尽きて十字架を投げ打って崩れ落ちるキリストに兵士がたまたまそこにいた男性に手伝うように指示します
男は罪人に間違われるのが嫌で、一旦は断りますが、キリストの様子を見て渋々引き受けます
一緒に担いでいるうちにキリストに同情し、感情移入し、次第に協力的になる男性はキレネのシモン
この人めちゃめちゃいい人!!感動しました

フィルマのスコア低いなー、キリスト教に全く興味がないと、つまらなく感じるからかな
あるいは、拷問シーンが胸糞なせい!?

一部では批判も出てるようです
ユダヤ人が悪く描かれていること、時々出てくるサタンの描写など、反ユダヤ主義に基づくものとしてバッシングを受けてるみたいです

個人的にはコレが聖書でなく、普通のドラマだったとしても面白いと感じるけどね
善人がひたすら無抵抗に拷問を受け、磔にされ、殺される
普通だったら途中で絶対死んでるだろ!!と突っ込みたくなるほど酷い拷問です
あまりの凄惨さにコレを見た敬虔な信者ががショック死したのは有名な話
あまりそういうことで箔をつけるのは好まないけど

マグダラのマリア役のモニカ・ベルッチさんが美しい
彼女もキリストの母マリアや弟子のヨハネもただただ周りから見ていることしかできないのが切ない

メル・ギブソン監督らしくリアルで残酷、そしてスローモーション多めです
彼のこだわりによって、吹き替え版は各国でないそうです

毎年クリスマスを祝うなら見て損はない映画だと思います