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パッションのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

パッション(2004年製作の映画)
4.3
紀元1世紀のエルサレム。イエス(ジム・カヴィーゼル)は、十二使徒の一人であるユダ(ルカ・リオネッロ)の裏切りによって大司祭カイアファ(マッティア・スブラージア)が差し向けた兵に捕えられ、市の城壁の内に連行される。夜の裁判でカイアファはイエスに救世主なのかと問い、肯定したイエスに対し、冒涜者だと宣告する。イエスを救おうとマグダラのマリア(モニカ・ベルッチ)はローマ兵にすがるが、望みは聞き入れられない。イエスの身柄はローマ帝国の総督ピラト(ホリスト・ナーモヴ・ショポヴ)に委ねられ、彼はイエスを十字架に掛ける判決を下す。ローマ兵により鞭打たれるイエス。変わり果てたイエスの姿を見かねたピラトは、この問題から身を引くことを示し、群衆の望みどおりに処すことを兵に申し渡す。十字架を背負わされ、エルサレムの街をゴルゴダの丘へと歩むイエス。惨刑に薄れゆく意識の中、母マリア(マヤ・モルゲンステルン)と過ごした楽しき日々や、十二使徒との巡礼の道を懐かしむ。そしてゴルゴダの丘で、イエスは十字架に掛けられる。磔にされてもなお、彼を裁こうとする人々の為に祈るイエス。まもなくイエスの生涯は最期を迎えるが、しかし、それから奇跡が起こり、彼は復活するのだった。

メル・ギブソンが、イエス・キリストの磔刑と復活までを描いた問題作。
メル・ギブソンは、今回の映画を作るにあたり、イエス・キリストの生涯を徹底的にリサーチして、今までのキリストの生涯を映画化した作品で聖書にある重要な記述で描かれなかったものを積極的に取り入れ、イエス・キリストの生涯を映像化した決定版になっている。ローマの総督ピラトは妻クラウディアにキリストの処刑を避けるように言われたこともあり鞭打ちの刑でキリストを赦免するつもりだったけど、政治と宗教において最高権力を持っていた大祭司カイアファたちパリサイ人がキリストの処刑を強いて求めたため、ピラトはやむを得ずキリストの処刑をパリサイ人に任せた。十字架をキリストがゴルゴダの丘まで運ぶ時、鞭打ちの刑にされた傷や度重なる鞭打ちなどで運ぶのが困難になり、その場を通りすがったクレネ人のシモンが十字架を運ぶ手伝いをさせられ、キリストと十字架を運ぶ内にシモンはキリストに敬意を抱くようになって後にキリスト教徒となる。十字架にかけられても隣で張りつけにされた罪人に慰めを与えたり、父である神に「何故自分を見捨てたか?」と問うたり揺れ動きながらも自分の定めを受け入れるキリストの人間臭い部分。何故キリストが処刑されたかまで、丁寧に描かれている。カラバッジオの絵画のようなリアルで宗教画のような映像美、キリストと同じように苦痛を味わいながらキリストを演じきったジム・カヴィーゼルの熱演、キリストの最後と復活を描いた決定版の映画です。
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